第65話 森のボス戦
「へへ、やっとボスにまで辿り着いたぜ……」
「油断するなよ、アレサ」
「ふん、やっと楽しめそうじゃないか。油断なんてするかよ!」
「お2人共、サポートは任せてくださぁい!」
好戦的な2人がボスに対してジリジリと距離を詰める中、アコは現場待機で状況に応じて援護出来るように準備を始める。
荷物から弓を取り出すと、目の前のボスに対して慎重に狙いを定めた。
「グルルルル……」
百戦錬磨っぽい身長3メートルはありそうな巨大なボスもまた、目の前で自分を倒そうと近付いてくる敵に対して最大限の警戒をする。攻撃の構えを取った後、自分の間合いに相手が入るまでじいっとその姿勢を崩さなかった。
この時、アレサはボスの慎重さからその強さを読み取る。
「流石に今までの雑魚とは違うみたいだな」
「気をつけろよ、判断を誤ったら……」
「んなヘマしねーよっ!」
2人が声を掛け合っているところで、最初に動いたのはボスだった。この突然始まったバトルに対し、前衛2人もすぐに反応し、混戦が始まる。
襲いかかるボスの手には特殊コーテングされた木の棒。それを力任せに振り下ろすので、当たったらまず重症は免れられない。当然、アレサもユウタスもその攻撃に当たらないようにフットワークを駆使して防御に徹した。
ボスの意識が前衛に向かっているのを確認して、アコはその目を狙って弓を引く。彼女の放った矢は狙い通りの場所にこそ当たらなかったものの、いい感じで目の上の額に当たり、ボスは痛みから構えを解いて雄叫びを上げる。
「ギャアアアアア!」
「今だ! 剣技、真空斬り!」
アコの攻撃で出来た隙を狙い、まずはアレサが自慢の剣技でボスの右腕を切断。ボスの体から分離した右腕は宙を舞い、そのまま地面にポトリと落ちる。
額の痛みに加えて右腕までもなくし、ボスは戦意を喪失。痛みでさらに絶叫した。
「ギャウワアアアアア!」
「今度は俺だ! トルネードアッパー!」
痛みで動けなくなったボスにユウタスの必殺のアッパーが炸裂。そのままボスはひざまずき、前のめりに倒れた。ズウウンと言う大きな音が森に響き渡り、木々の枝で休んでいた鳥達が一斉に飛び去っていく。
動かなくなったボスに向かって、今度はアコが魔法の杖をかざした。
「任せてください! 風の精霊よ、杖に宿れ! シルフカッター!」
魔法の杖から発生する風の刃がボスを切り刻む。この攻撃によってボスは気を失い、雄叫びを上げる事すら出来なくなっていた。後はトドメと言う事で、アレサとユウタスが念入りにボスの体にダメージを与え続ける。
この傍から見たらリンチのようなヤバい行為により、見事に森のボスモンスターは倒されたのだった。
「よっしゃあ、倒したっ!」
「これで報酬独り占めっ!」
ボスを倒した2人は拳を合わせ、勝利を喜び合う。すぐにその環の中にアコも入り、3人でハイタッチ。勝利の喜びに酔いしれたのだった。
「やりましたね! 連携の勝利です!」
「ああ、もうこの森に用もないし、とっとと帰ろう」
「早く帰って報酬もらおうぜ」
早く報酬を手に入れたかったアレサがすぐに帰路につく。すぐに2人も急いで後を追いかけた。モンスターのボスを倒したのもあって、帰り道では、全くモンスターに遭遇しなかった。
一度入口付近まで戻っていた事もあって、帰路は迷う事なくスムーズに進んでいく。3人は開放感に包まれて、和気あいあいと森林浴を楽しみながら森の入口にまで辿り着いた。森の奥が広場だったように、森の出口もまた広場になっている。
その広場に辿り着いたところで、真っ先に飛び込んできた景色を見てユウタスは絶句する。
「おいおい……嘘だろ」
森の出口で3人を待っていたのは、全長10メートルはあろうかと言う超巨大なバケモノモンスターだったのだ。
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