第27話 3人合流、そしてリベンジへ

「私が1人で頑張ってこの遺跡を調べている時、2人は楽しそうに遊んでたんですね」

「あ、遊んでたんじゃないよお!」

「ふふ、分かってます。ちゃんと無事に出会えて良かった」


 リルはからかうように微笑むと、探索を再開させる。2人の時はシイラがリーダーをしていたけど、3人が揃ってからはまた冒険マニアのリルがリーダー的な立ち位置になっていた。

 そうして、最初の探索時の反省を生かして今回はアコが最後尾に着く事に。


 そこからの探索はスムーズに進んでいく。トラップ引っかかり体質のアコも、リルの誘導が優秀なのかすっかり何にも引っかからなくなり、遺跡の最深部まで何のトラブルもなく探索は進んでいった。


 アコとシイラは段々見覚えのある場所に近付いている、と、そう実感し始めた。シイラがそれを伝えようとしたところで、リルが勢いよく振り返る。


「この先にお宝がありますね。私の勘がそう言ってます」

「ねぇリル、私達多分この先がどうなってるか知ってる」

「え? もう攻略したんですか?」

「いや、そうじゃなくて……」


 シイラが説明しようとしたところで、近付きすぎたのかそれは3人を察知して動き出していた。そこはアコ達が逃げ出したあのガーディアンが守るエリア。

 手も足も出なかった記憶が蘇ったシイラは、更に進もうとするリルの背中を掴んだ。


「ダメだよ。あのガーディアンむっちゃ強いんだ。離れれば襲ってこないから!」

「なるほど、あなた達はそれで逃げたのですね」

「う、うん……」

「大丈夫です! 私に任せてください!」


 リルは背中の鞄からテキパキと武器を取り出した。その武器でガーディアンを倒そうと言うのだ。彼女が持ってきていたのは遠距離攻撃用の弓と接近専用の剣。剣はダンジョン用に少し短めの特殊仕様だ。

 近付いてくるガーディアンの動きはまだゆっくりで、考える時間の余裕があった。


「好きなのを使ってください。私は弓を使います」

「後は剣と弓か。アコ、どうする?」

「じゃあ私も弓で……自信はないけど……」

「なら私は剣だね」


 こうしてお互いの武器分担は決まり、ガーディアンに対して攻勢に出る準備は整った。お宝を守っているであろうガーディアンは2体。作戦は一体ずつの各個撃破。

 ここで3人は顔を見合わせてうなずき合い、2体を引き離して一体ずつ向かってくるように誘導を開始する。


 独自に思考しているのではなく、決まった命令に従って動いているガーディアンは簡単にその動きを誘導させる事が出来た。

 目論見通りに一体で向かってきたガーディアンに向かって、シイラは剣を構える。


「さあ、私を倒してみな! 今度はさっきみたいには行かないよ!」


 ガーディアンも相手が剣を構えているのを察知して迎撃モードに切り変わる。目の色が青から赤に変わり、その腕には古代の剣が握られる。とは言え、まだシイラもガーディアンもお互いの武器の間合いにまで近付いてはいない。

 ジリジリとガーディアンが目前の遺跡荒らしの排除に近付く中、タイミングを見計らっていたリルが弓を構えた。


「アコさん、援護です!」

「う、うん」


 その合図で遠距離攻撃組がタイミングを合わせて弓を引いた。最初から弓を選んだリルは当然として、自信がないと遠慮がちだったアコの矢もまっすぐにガーディアンに向かって飛んでいく。

 狙いは正確だったものの、ここで大きな誤算が発生していた。


「嘘? そんな……」


 リルが思わずそう口にしてしまったのも当然だろう。放った矢はガーディアンに簡単に弾かれてしまったのだから。アコの放った矢もその硬い体に刺さる事はなく、ポーンと軽く跳ね飛ばされてガーディアンは無傷のまま剣を構えたシイラに向かっていく。

 援護が役に立たないと分かっても、直接攻撃に望みをかけた彼女は先に攻撃される前にと一気に剣を構えて踏み出していった。


「うらああ!」


 腕に覚えがあったのかシイラの構えは本格的で、ガーディアンに向かって的確に剣を振り下ろす。その手慣れた動きを見たアコは無意味に勝利を確信していた。

 しかし、次に遺跡内に響いたのはその振り下ろした剣があっけなく折れたパキンと言う絶望の音。この様子を目にしたアコは思わず両手を頬に当てる。


「も、もうだめだー!」

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