小仏トンネル付近で渋滞/装丁される心外な

韮崎旭

小仏トンネル付近で渋滞/装丁される心外な

 出来がよい。終止符を打つ。感嘆符を添付する。観光用に引用する。稀少さを垣間見る。階段の隙間に詰め込まれた夏が喚いているがもう誰にも顧みられないことが、哀れと言えば哀れではある。そこにいない。解明する。瞠る。関心を持つ。知らないふりをする。朝が来る。晴れている。日の出の時刻を知らないことに気がつく。気象に関した暦を必要としうる。冷蔵庫を顧みる。完成形を思い描く。段差に注意する。奇妙さの演出に慌てる。様子がある。人が動いて生きているので恐ろしい。用事を見かけたことがある。ため息をついた。


 できない。見境がない。用言をよく用いる。参照するにはあまりにも衒奇的でばからしい言動。知らぬ間に溶融する。健康であることを確認する。であるならそうする。あなたを探さずにおく。書籍を買い求めるために出かける。コーヒーにミルクが解けて渦を描くことも時としては見かけられる。圏外だと思う。過ごす。参加する。見知らぬ街である。路地がある。石畳だ。送電線の蜘蛛の巣を美しく思う。カササギを橋とする。観覧者に遊覧される。船舶が橋の下を通り過ぎる。橋げたである。陸橋がある。鳩が飛び交う。看板を見かける。消火栓の表示も見かける。「楡が塚三丁目交番前」の交差点表示も見かける。東海道・山陽新幹線のピーク時の乗車率が自由席にて167%を記録する。心外そうにふるまう。スクランブル・エッグである。卵の黄身を多く見かける。増悪する。不信感の高まりを見かける。缶コーヒーを飲んでいるが特に不信感の塊以上の文学的な表象は見られない。印象を持つ。きしむ。さび付く。新しいものだ。涵養する。水源地である。


 小仏トンネル付近が40キロメートルの渋滞。曙には失意が似合う感傷。絢爛な崩落。体のよい妄言。境界線のあいまいな郊外にいて地下壕でばらまかれた人権意識称揚委員会の無神論的標榜。できそこないのコガネムシに語りかけたできそこないの散文詩が煙草の煙とコオロギに沈殿する呉れ方。電線に緩和されるように見計らった蒼白な神経質の見入るべき時が来ない時限。灯篭のあざやかさにかんがみることも時には要されるのだろうがそういったことは私の領分ではないという墓守の架空の肖像。天教員に飾られた簡易な説明書。取り扱いに関しては16ページを参照することが推奨される落丁した市民体育館の情操。電波塔の近隣の氷雪の落下等の被害の申し立て。意外さの減退してゆく回廊での軍事的衝突のロマン主義文学の作家。ヒステリックな膨張剤、苛性ソーダ、昆明池、怪談、フライドオニオンの岩礁での週末。


 虚無である。バカンスは素敵な休暇ではなく意図された虚無。知らないふりをする。関心のある戸棚。引き出しから体言の次点。小麦の先物取引価格の上昇。

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