不老不死になりたい?

不老不死、それは誰もが1度はなりたいと思うだろう

でも、不老不死というのは虚しい


家族、友人、恋人、それら全てを失ってしまう

絶対に死なない?否絶対に死ねないのである

大切な人を失い

非力な自分を憎み、死のうとしただが、傷は直ぐに塞がる

首を吊ろうとした

呼吸をしなくても生きていけることがわかった

飛び降りをした

体には1つも傷がつかなかった


歳を取らない体?否歳を取れない体、成長しきればそれ以上成長も退化もしない

周りからは気持ち悪がられる


なんでこうなったんだっけ?

どうでもいいか

そんな日常を歩むのは嫌だ

俺は死にたい

最愛の人と共に朽ち果てたい

それか、最愛の人も不老不死にしてしまおう

でも、彼女はそれを望まない


俺は彼女にこう尋ねた

「不老不死になりたい?」

すると彼女は

「昔はなりたかったさ、でも、不老不死つーのはつまらない。歳も取れないし死にもしない、人は“死”というゴールがあるから頑張るんじゃないかい?“死”という恐怖があるから安全に、健康に行きたいと願うんじゃないかい?皆不老不死になりたいと言うけれども私はそうは思わない。終わりがあるから人生ってもんは面白い、終わりがなけりゃつまらないじゃろ?」

彼女はそう語った

「それもそうだな

もし、俺が不老不死で、君が死んだあと追いかけれなかったらどうするんだい?」

「私はいつまでも待つよ、何せ最愛の人だからね」

そう笑ったあと彼女は息を引き取った

「あぁ、なんて俺は無力なんだ

なんで死ねないんだなんで彼女と一緒に老いることが出来ないんだ!俺はもう、彼女に会えないのか!!!????」

俺は1000年間泣き続けた

1人で、真っ暗な洞窟の中で、ただただ泣き続けた

これで俺の初恋は終わった

それから約600年色んな人を見た

自殺をしに来た奴だっている

でも、必ずそいつらは死なずに帰る

どれだけ些細なことでも生きたいと願えるような

大切な物があるから彼ら彼女らは命を捨てきれない

色んな話を聞いた

彼女が死んでから

ここを訪れた人は何人もいた

そんな中1人だけ

気になった人が居た

“彼女にそっくりな子供”だった

あの子は何度もここ来てはいつも俺に話しかけてきた

「ねぇ?なんでここにいるの?」

「死を待っているんだ」

「なんで?」

「俺は、不老不死だから死ねないんだ」

「ふーん」

この子は不思議と彼女と同じ反応をした

他の人達は嘘つきとか、嘘だろ?とか、冗談にしか取らない

でも、彼女とこの子は否定も肯定もしない

「不老不死になりたいか?」

「昔はなりたかったな〜でも、今はなりたくないな!人生のゴールが無くなっちゃうからね!ゴールがない物なんて面白くないじゃん?だからさ!終わりの決まっている物でどこまで楽しめるのかがその人の生き様なんだよ、私はそう思ってる」

そう彼女は笑った

「そうか、お前も彼女と同じなんだな」

「彼女?」

あの子は首を傾げた

「あぁ、もうだいぶ昔だがな」

「ふーんどんな人?」

「明るくて占いが大好きな人だった

そして君と同じ事を言ってたよ」

俺は久しぶりに笑った

「私は“卑弥呼”です!」

あの子はそう言い放った

途端、俺の目から大粒の涙がこぼれ落ちた

「なんでその名を知っている?」

「え?いや私の名前です」

「もう帰れ、二度と来んな」

「急になんですか?なんでですか!?」

「ようやく忘れられたあの頃を思い出してしまうから………俺は旅に出る、もうここには来るな」

「嫌です!!行かないでください!!」

「なんで?なんでお前まで停めるんだよォあの頃と俺は何も変われていないやっぱり卑弥呼、君の元へ行くのは遅くなりそうだ」

「え?」

「ごめん卑弥呼愛しき人

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