彼女の“嘘”

「ねぇ、私の事好き?」

そう言って私は首を傾げた

「あぁ、好きだよ」

そう言って彼は笑った

「ねぇ、私の事愛してる?」

私は再び首を傾げた

「さぁ?」

そう言って彼はとは言わない


「やっぱり、私じゃダメ?」

「うん、ダメだな」

やはり彼は私の事をんだ

「なんで?なの?」

「それは、お前が男だからだな」

「えーでも、そこら辺の子より可愛いでしょー?」

彼は私の事を男だと認識している

女の子なのに

小学校の時からずっと間違えてる

きっかけは――――あの時の“嘘”のせい




――――――――――――――――

「お前女だろ?なんで一緒に風呂入るんだよ?」

「ふっふっふ、甘いねまーくん」

「何が甘いんだ?いいから出てけ」

「僕は男なのだよ!!!!」

「は?え?うそ?マジ?お前ないじゃん!!」

「まじまじ!じいちゃんに聞いたら大人になると生えてくるんだって!」

「へーほーへーすげーモノシリだな!サトリは」

「ふっふーん!凄いでしょ!!」

……………………………








――――――――――――――――

なんで嘘ついたんだろ?

ま、いっか

今は今で楽しいし!

「まーくん!かーえーろー!」

「いいぜ!サトリ!ゲーセン寄ってく?」

「おーいいねぇー!行こーか」

「おう!」








――――――――――――――

「ねぇ、私の事好き?」

そう彼女は聞いてきた

「あぁ、好きだよ」

俺は笑いながら返した

「ねぇ、私の事愛してる?」

彼女はそう聞いてきた。その時の笑顔は忘れられないぐらい綺麗だった

「さぁ?」

俺は誤魔化した。俺が好意を持っていることを悟られないように

「私じゃダメ?」

彼女はそう言った

一瞬喉から出そうになった“ダメなわけないだろ”という言葉がなかなか出てこない

「あぁ、ダメだな」

やはり出てきたのは否定の言葉だった

「なんで?なんでダメなの?」

と聞かれた

「それはお前が男だからだな」

そう返した

彼女自身が放った嘘を信じた“フリ”をした

「えーでも、そこら辺の子よりも可愛いでしょー?」

あーかわいいよ?すごく可愛いんだよ?

だけど俺は付き合えない

愛することも出来ない

「はい、この話終わりー!」

だから話を俺は終わらした

「ところでゲーセンでも行くか?」

「いくー!」

彼女の笑顔はやはり最高だ

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