今日も通う(1)

私は、霧ヶ峰紗季きりがみねさき

高校生をしている

恋をしている

ただ叶わない恋をしている



私が恋している相手の名は蒼井総司あおいそうじ彼は、幼馴染だった

彼は、常に1番だった

彼は、私の上の存在だった

彼は、虐められていた私を助けてくれた

ましてや、いじめっ子とも仲良くなり、私達は5人で遊ぶ事が多かった、

でも彼は、嘘つきだった

彼は、遠い所に引越しをする事を私に、いや私達に隠していた

来夏

尚人

翔太

の4人に嘘を付いたまま彼は行ってしまった

彼は言った

「俺達は何があっても、一緒だ、だから忘れない限りさいきょーなんだ」、と彼は言った

その後日、彼は行ってしまった



私達は、ショックを受けた

彼は、私達に何も言わずに消えていった

でも、私達はずっとずっと彼を待った

毎日、10時に集まり、昼飯を食べに帰り、13時にもう一度集まる、そして、5時に解散、それがいつもの事だった

だが、彼が居なくなってから数週間後には、来夏が、その次の週には尚人が、その次の週には翔太が、来なくなっていった



でも、私は毎日、あそこへ行く、何故ならまた会える気がしたから、会える気がするから、


「ふん〜ふふ〜ん♪」

そんな、鼻歌を歌いながら私は、あそこへ行く、学校があるから、16時に行く事になってしまうが、いつも行く、必ず行く、私が彼らを忘れない限りさいきょーなんだから、


「あれ?誰かいる」

誰だろう?と思いながら私はその人影に近ずいた、


「久しぶりだな、紗季」


「尚人じゃん!久しぶり、元気してる?」

「おう元気!」

「なんで、今更?」

「忘れたのかよ?今日で、10年だ、」

「忘れる訳ないじゃん、でも、よく覚えてたねー」

「だって、『俺達は忘れない限りさいきょー』だろ?」と、言いながら尚人は笑った

「そう言えば、高校どこよ?」

「聞いて驚け!俺は秀全学園だ!」

秀全学園は、県内で、最難関と呼ばれている高校だ

「へー凄いじゃん」

「お前は何処なんだよ?」

「私は、紀八高校だよ」

紀八高校は家から1番近い県内でまあまあ、とされる高校なのです

「ふーん、お前らしいな」

「何よ、私らしいって」

「まぁ、気にすんなよ」

「はぁ、それで、尚人は、来夏と翔太が何してるか知ってる?」

「知らねー」

尚人は、首を横に振った、

「そっか」

「そう言えばさ、なんで急に来なくなったの?」

「そりゃー手紙に書いてあったからな」

「手紙?なんて書いてあったの?」何それ、私貰ってない

「『俺は、近いうちにいなくなるかもしれない、もし、俺が消えたら数週間後には辞めてもいいけど約束を守ってくれ、あいつ寂しがりだからさ、お前たちが支えになってやってくれ、頼む』って、手紙を貰ったんだよ」

「えっ…………」

「それじゃあ、みんな居なくなったのも………?」

「多分、手紙を貰ったからだろうな」

「そうなんだね」

何故かほっぺたが冷たい、くすぐったい

でも、熱い

なんだろうこの気持ち




「よぉ、10年ぶりだな、紗季」

彼は、ニコッと笑った

私も、懐かしくなり笑ってしまった、

「もうっ!バカ!」

そう言って3人で大笑いした


―――続く






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る