ぼく、おおきくなったらさやちゃんとけっこんする
――――――side福島沙弥
『さやちゃん、いこ?』
懐かしい夢をみた。
私は
幼稚園の頃、よく遊んでいた明るい少年
名前は思い出せない
顔も思いだけない
ただ、約束だけは覚えている
10年、20年、30年経っても、これ《ペンダント》だけを手放さなければ会える気がしていた。
彼は絵を描くのや、本を読むのが好きだった
だから編集者になった。
会える気がしていた。最愛の人に
小学校、中学校、高校、大学でも好きな人はいなかった、告白されても断り続けていた。
あの人と結ばれるために、
あの人は今何をしているのだろうか
そんな事を思いながらいつもの様にペンダントを首にかけ、あの人の事を何処か諦められない、忘れられない、待ち続けるいつもの日常が始まる。
――――――――――――side三上真司
『しんじくん、だいすき!!』
そう言いながら微笑む彼女のことを忘れられない、彼女は、彼女の名前は………誰だ?
誰だったけな彼女のことを思い出せないし、顔も忘れてしまった。ただ声だけは覚えているあの声だ、今頃声優でもしてるんじゃないかな、なんて思いながらボクはイラストレーターをしている。
彼女に会いたい。その一心で絵を描いている。
今の担当編集者さんはすごい美人でぶっちゃけ好みだけどあの約束を忘れる訳にはいかない
だって初恋だもの、彼女が僕の事を忘れてるかもしれない。でも、それでも僕の事を憶えているとその希望がどれだけ小さくても、可能性すらなくても、僕は彼女に会いたいんだ
このペンダントがある限り会えると信じている
そうだ、思い出した、さやちゃんだ!さやちゃんに会いたいな、なんで思い出せんだろうか、そんな事はどうでもいいが会いたいなぁ
――――――ピンポーン
「すいません、先生?居ますよね?開けてください」
編集さんが来たみたいだ
「はーい、今出ます」
ペンダントを付けて僕は玄関に向かう
「先生!?どうして泣いてるんですか!?」
僕は泣いてしまったのか
「すごく前の事を思い出してしまってね。編集さんこそ、どうして泣いてるんですか?」
僕の目の前にいる編集さんは綺麗で一筋の涙を流していた
「すみません、何故か分からないんですが涙が零れてしまいました」
「取り敢えず上がってください、下書きは出来てますので」
「はい!」
そう返事した彼女はすごくいい笑顔だった
――――――――――――
僕達はもう気付かないだろう、いや私達は気付かないふりをし続けるのだろう、僕達がビジネスパートナーでは無くなる、私達が本当の意味で気付くまで、忘れたフリを分からなふりを、気付いてないふりをし続けるのだろう
僕達、私達は気付いてしまったら絶望をするしかないのだから
私達、僕達の薬指には互いに全く違う指輪を付けて、お互いに既婚者の振りを続けるのだから
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