第一章 4話

「ボルネシア、遅かったね」


「あー!遅刻だよ、ボル!」


馴染みの顔が会議室の前に立っていた。

ユージラは、薄紫色のワンピースのような軍服を見にまとい、胸についたリボンをひらひらとさせながら、前方の私を見て微笑んでいる。

一方、隣国の緑色の軍靴まである丈の軍服を見にまとい、ベルトを腰につけたセザンヌは、髪をゆらゆら揺らし、歩いてる私をせかしているかのように思えた。

清々しい朝というのに呼び出しがかかるのは苦であるが、二人の顔を見ると心が穏やかになるようである。

「仕方ないじゃん、私が一番遠いんだよ...」

エデン軍事施設教育場は世界一の大きさを誇る。一国を除いては

その中でも会議室は、施設の中央にある。

しかし、爆発音から遠ざけるために隔離された陸軍強化施設は、移動にも一苦労であるが、…ヒールの私なら尚更である。


「じゃあ、行こうか。」


私は二人の前に立ち、扉を軽く叩く。

室内からの合図を受け、扉を開けるや否や、即座に配置につき敬礼をする。

「陸軍強化兵、ヴィッツ・シュラフ・ボルネシアです」

「医療強化兵、ユージラ・リッターです」

「陸軍補佐強化兵、ルーダ・セザンナヴィアです」

「戦務参謀のグルリアだ」

少し離れた椅子に座っていたグルリアは、席を立ち、此方に敬礼をして見せる。

黒髪の短髪に眼鏡を掛けた彼は、すらりとした体形で、あまり戦闘には向いてないように見える。

しかし、胸元につけたワッペンがその考えを否定するかのように存在を示している。


各々挨拶を終え、事細かに情報が書かれた書類を受けとる。

「SVY部隊に所属する三名に告ぐ。

貴官らには、スペア国のシルク国王の誕生日会に出席し、護衛を頼みたい。」

国王も子供だな、と考える私の横でユージラは声を漏らした。

「...護衛、でありますか。」

少し驚いたような声で問い掛けたユージラだったが、内容を聞きすぐに納得した表情を見せた。


亜米利谷アメリヤ”の軍隊は、機械の技術を用いられた人間によく似たアンドロイドである。

そして、簡易型のアンドロイドは知識として男性を相手に戦争する機械にとって、私達は攻撃の範囲外と見なされることがあるのだ。

よく言えば有利。悪く言えばお子様としか扱われないということだ。

今回選ばれたのは、暗殺を図るかもしれないアンドロイドの視界から外れ、暗殺を妨げる為にということなのだ。

さらに、重度な警備を嫌う国王にとって、私達の容姿は合っているのだろう。良い意味で


「各員、意義はないな?」

左の狂犬は、少し残念そうな顔をしているが、断るわけでもないであろう。


「では、明日に備えておくように」




「「「了解」」」

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