第38話 言わせてほしい

しばらくすると歩と柳瀬くん、やせ細った東次郎くんがこちらに来た。


 多分東次郎くんは色々と事情を聞いて自分が勝負の負ける原因を作ってしまったと気づき意気消沈しているのだろう。


「やったね!透!作戦成功!」


「よくやった歩、しかしよくあんな大差で勝てたな?」


 透と歩はハイタッチをした。



「ん?なんか気のせいかもしれないけどトランプの大きな数字だけ不思議とキズがあってね〜

そのついたやつだけにしたらあら簡単に勝っちゃった……って感じかな?」


 歩は島崎さんの方を見て、ニヤニヤしている。


 島崎さんは必死によそ見をして表情を隠す。




「……ったく!本当に東次郎……アンタは使えないわね!とことん私の邪魔ばっかするし、まだ一人の方が十分だったわよ!」



 島崎さんは負けた腹いせか東次郎くんに当たっている。


 ちょっと言い方キツくないか?

 そもそも東次郎くんだって知らずに勝負させられていたんだから。



「すみません!真由様!」


 透はフォローするかのように、



「ちなみにそいつは自分がやってる勝負が合計点数になるとは知らなかったんだ、少しは勘弁してやれ」



「ふん!でも負けは負けよ!これで5組はもう一位は取れないし、東次郎アンタが負けなきゃこんなことにはならなかったのよ!」



「そんな言い方ないでしょ!」


 アリーナも反論する。



 ……ちょっと僕もキレそうだった。


 島崎さんは負けた原因を東次郎くんに責任転嫁しようとしてる。さも自分が負けていないかのように……。



「うるさいわね!貧乳!アンタもね、青野たちがいなかったら何にも出来なかったのよ、何も出来ずに泣いてるだけだったじゃない……自分でも本当は分かってるんじゃない?自分は使えない奴だって……」



 僕の中の何かがプチっと切れた感じがした……。


 僕は島崎さんの方へ向かおうとしたその時、手を引っ張られた。



「ダメだよ……大地……。暴力は反則だよ……」


「歩……あのまま言わせっぱなしでいいの?」


 僕は今にでも飛びかかってぶん殴るつもりだが。



「ボクが友達をバカにされてて黙ってる奴だと思う?

……今がイベント中じゃなかったらアイツに襲いかかってネットに全裸の写真流出させてやる」


 歩は拳を握っていた。



「さぁ!さっさとカードをよこせ、お前の言い訳なんて聞き飽きてるんだ、俺たちも時間が無いんでね!」


 透もムカついているらしい。

 だが今はこんなおっぱいに相手してるよりもカード集めに専念するという目つきだった。



「分かったわよ!はぁーあ、こんな問題児だらけのクソ3組に負けてカード奪われたなんて、5組のみんなになんて謝ればいいかな〜」


 僕は歩の手をほどき、島崎さんの元へ歩き出した。



「あっ!待って、大地!」


 歩の声でなんかで止まらない。


 さっきからこのおっぱいは僕のクラスや仲間を侮辱したんだ……許せるわけないだろ。




「島崎さん……君ね……えっうわっ!」


「え?何を……キャッ!?」


 僕は石に躓いてしまい、勢いで島崎さんと共に倒れてしまった。



「イタタタ……ん?なんか柔らかいものが」


 モニュモニュと手で触る。



「ひゃっ!そこは!?」


「大地!?アンタ何やってるの!?」


「ん?何って……あぁぁぁ!?」


 僕の手はおっきなおっきなメロンのようなおっぱいを掴んでいた。



 島崎さんに馬乗りする形で僕は倒れてしまい、同時にその巨大なおっぱいを掴んでしまっていたのだ。


 これが俗に言う……ラッキースケベというやつか……。



「やっ柔らかい……」


 少し本音が出てしまった……。


 しかし僕は一瞬で我に帰ってしまう。



 そして今の状況と僕が手にしてるものを確認したところで僕の顔は急に赤くなり始めた。


 はっ恥ずかしい……。





 皆さまお待たせしました。

 何話ぶりぐらいの登場でしょうか……。いつものアレ、来ますよ?

 読者・声優殺しのアレですよ。



「……ちょっといつまで乗ってるの!?」


「ーーうるさいな!このドM爆弾乳め!自分の乳で窒息死しろよ!」


「……ばっ爆弾乳!?」


「なんだよこの乳!シリコンでも入ってんのか!デカすぎんだよ!誰かに分け与えるか、頼むから破裂してくれない?もはや一人だけ胸の面積分、表面積デカイんだから不公平だろ!もっとお前の生存圏小さくしろよ!あとさっき触った時、「ひゃっ」っていう可愛い声出すなよ!一応ビッチでキャラ通してんだろ!そこら辺しっかりしないとキャラブレるだろ!お前は体もキャラもバランス悪いんだよ!つーか、ビッチならノーブラ、ノーパンがユニホームだろ!なに履いてんだよ、ボケナス!」



「……うっうう……」



「あとさっきから何八つ当たりしてんだよ!もはや乳どころか心まで汚れてるじゃん!何が「まだ一人の方が十分だっただわよ!」だ、お前、一人でも確実に負けてたから!戦闘力1以下だから!普通の人間よりもど低能だからね?戦闘力低すぎてフ◯ーザのスカウター壊れるレベルだから!あとアリーナに向けた悪口も貧乳かバカの二択しかねぇのかよ?悪口の戦闘力も皆無か?もしくは口臭くてそんなに言葉が喋れないとかか?それなら急いで歯を磨くか、インプラントしてください!どっちにしろ大した悪口も言えずに中途半端なことしか言えないなら言うな!喋るな!口を開くな!まだそこの貧乳の方が悪口言えるのに我慢して耐えてんだぞ!それ見るだけでムカムカするわ!ったく身の程を知れよ!ゲテモノ胸部が!その脂肪噛みちぎるぞ!?」



「ハァ……ハァ……」


 ……言い切ってしまった……。



 悪口を言われた島崎さんはメンタルがやられてしまったのか固まっている。




 マズイことしちゃったな……。


 バシッと頭を叩かれた。


 叩いたやつを見ると透だった。



「なにやってんだアホ、長いわ…」


「ごめん……ちょっと歯止めがきかなくて……」


「まぁいいんじゃないか?少なくとも他の奴らはスッキリしたと思うし、あんだけ長い事言えないからなお前が言ってくれて良かったって思ってるんじゃないか?」


 僕はみんなの方を見ると、みんなこちらを見て笑っていた。



「ったくアンタの悪口長いのよ!あと途中でさりげなく貧乳って言ったことは大目に見てあげる」


「……日に日に増してるな、悪口、今回は悪い気はしなかったぞ?」


「あーあ、知らないよ?また大地のひどい噂が流れても?……まっ今回はそのおっぱいが悪いから良いんだけど!」


「よしお前ら!カードは手に入ったし、掲示板見に行くぞ!」




「「「おおぉぉぉ!」」」



 僕は島崎さんたちを置いて掲示板を見に行った。


「あれ?そういえば、僕が悪口言ったってことは……」








「真由様!真由様!大丈夫ですか!?」


「……き……んない……」


「え?何て言ってるんですか!?」


「好きぃぃぃい!この気持ち止まんないぃぃぃ!」


「どっどうしたんですか!?」


「あの悪口!蔑んだ目!良い!イイィィィ!」


「まっ真由様!?」


「はぁ……大地様に虐められたい……どうしたらもっと虐めてもらえるの?私が犬……ペットになれば?」


「しっかりしてください!」


「大地様悪口を言いながら、大地様虐められたい!そうしたい!!」


「頭おかしくなったんですか!?」


「トレ!!ビアンッ!!」


「真由様ぁぁぁ!!」




 島崎真由……西野大地よってドMが覚醒!




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