第37話 ファイト終了

「おーい!そっちは終わったか?大地!」


 向こうから透が歩いてきてる。



「うん、一応終わったんだけど……」


「浮かない顔してどうした?」



 僕の口からはちょっと言いづらい。


 しかし言うしかないだろう。



「結果なんだけど……」


「もう一回よ!もう一回やりましょ!」


「いいえ〜やりません〜決まったことです〜貧乳は胸も無ければ、決定権もありません〜」


「きー!聞き分けない胸部大量脂肪女ね!」



「あの様子だとアリーナが負けた感じか?」


「うっうん……」






 数分前……。



 だん!と二人のカードが場に出された。


 二人はすでにストップをコールをして変更できない。


 このカードで決着がつく!



 アリーナのカードは……9!まぁまぁな数字だ!

 これなら……



「ふっふっふっ!天は私に味方したらしいわね!」


「まっまさか!?」



 島崎さんの数字は……10だった。





 そして現在。




「はっはっはっ!私の勝ちよ!ザマァみなさい!アンタ達3組に負けるなんてありえないのよ!バーカ!バーカ!」


「くっ……!」



 アリーナは口を噛みしめる。

 そして徐々に目から涙が出てきたのが見えた。




「ごめん……みんなが一生懸命に集めたカード取られちゃった……本当にごめんね」


「あら?泣いちゃったの?かわいそうね……胸もとられて、カードもとられるなんて……ププッ!」



 コイツ……ちょっと黙らせてやろうか?




「真剣にやったとか笑っちゃう!それで結局負けたんだから、意味ないわよね?」


「そんな言い方ないだろ!?アリーナは真剣に戦ってて……」


「でも負けたのよね〜」


「くっ……!」




 コイツ女じゃなかったらぶっ殺してやる。



「……その蔑んだ目、最高ね……ゴホンゴホン!さぁ!約束通りカードを貰うわよ!」


 島崎さんは余裕な顔つきで透に手を出す。




「アリーナ……泣いてるとこ悪いが、結果はどうなったんだ?」


「……うぐっ……三回戦やったけど二人とも33点、同点だったから4回戦やって……43対42で負けたの……」


「そうか……」



 透は悪魔も怖がるほどの笑みをこぼした。



「その子の言う通り、結果は変わんないのよ!さっ……ちょうだい!」


「ふっははっ!それは無理だなぁおっぱい崎!」



 透は笑い出した。

 なんだろう気でも可笑しくなったのだろうか?



「おっぱ……無理!?なんでよ!?」


「もう一度確認するがお前たち三回戦で決着はつかなかったんだよな?」


「えぇ……だから四回戦を!」


「ーールール覚えてるか?」


「はぁ?当たり前でしょ!アンタが言ったじゃない『合計点数というのは、三回戦まで行った全てのゲームの合わせた点数って事でいいな?』……って……まさか!?」



 島崎さんは透の言葉を言った途端、顔が険しい顔になった。

 それ同時になんだか冷や汗をかいてる雰囲気だった。



「そういうことだ……合計点数は三回戦まで行った点数……つまりは四回戦目の点数は含まれないよな!」



「そっそんなの関係ないわ!だって普通やるでしょ!?決着つかなかったら四回戦目も!」



「んなこと知らねえな!俺は散々ルール確認したぞ?そしてお前はそれを渋々めんどくさそうにしてたが否定はしなかった!つまりはあの時ルールは三回戦までだったんだよ!」



「くっっっ!」



 島崎さんは何も言い返せないみたいだ。


 確かに透の言ってたことは正論だからだ。

 まぁ後はあの雰囲気の透はちょっと怖い。



「……でもどうすんのよ!?引き分けのままで勝負は終わるの!?」



 ……島崎さんの言う通りだ。このままでは決着はつかない。



「それに関しては大丈夫だ……もうそろそろあっちも決着がつく」



 すると透はスマホを取り出して電話をし始めた。

 通話相手は……。



「……もしもし……」


「柳瀬か、そっちは決着ついたか?」


「……あぁ……今、真下に代わる」



 柳瀬くん?確かみんなそこらへんをブラブラしてるはずだけど……。



「歩、結果は?」



 透はスマホをスピーカーにして僕たちに聞こえるようにした。




「37対24でボクの勝ちだよ〜これで良かったんだよね?」



「……とのことだ」


「はぁ!?……とのことだじゃ分かんないわよ!説明しなさい!」


「……ったくめんどくさいおっぱいだな……」


「……くっ!……なかなか良い悪口じゃない……ゴホンゴホン!おっぱいって何よ!?」



「だから……あっちのゲームとこっちのゲームを足した合計点数で決着が分かるだろ?」





「「「は?」」」





 僕を含め三人とも透の言葉の理解ができなかった。


 あっちのゲームとこっちのゲームの合計点?

 何言ってんのコイツ?



「ばっかばかしい!何言ってんのこのバカは!?」


「……何かおかしなこと言ってるか?」


「なんであっち……だっけ?他の場所のゲームの点数が含められるのよ」



 島崎さんは話にならないと言う表情だ。



「ちなみにあっちのゲームというのは歩と東次郎の勝負だが、ルールはお前らと一緒のゲーム、一緒のトランプだ。

『お前たち5組の一人と俺たち3組の一人が三回戦まで行った全てのゲーム』……ちゃんとルールは破ってないが?」


「そっそんなの勝負として認められないわよ!」


 島崎さんは少しビビりながら反論している。



「あと俺は確認したよな……『お前とアリーナの一対一の個人的な勝負でなく、ちゃんとした5組と3組の戦いという事でいいか?』って……

……お前ら個人的な戦いではなく、名目上クラスの戦い、なら他の5組と3組のやつが同じ勝負してもそれはクラスの戦いに含まれるだろうが!」



 透の口調もだんだん悪くなっている。

 あれ?主人公の僕より目立ってるの気のせい?



「そっそんな……こと……」



 何も言えず、ただただ意見をぶつけられる。

 島崎さんはメンタルが限界みたいだ……。




「さらにお前は言ったぞ!

『私たちとアンタ達がプレイすればもうその時点で勝負なのはわかるでしょう!?』……とな歩と東次郎は既にプレイしている。もうこれは歴とした勝負なんだよ!」



「……うっうぐ……」



「ちなみにルールを確認しているあの時の状況は柳瀬が撮っている。言い逃れはできないからな」



「……グググッ分かったわよ!……はいはい!私たちの負けですよ!」



 島崎さんは負けを認めた。



「え?じゃあ僕らの勝ち?」


「……私たち勝ったの?」



 特にさっきまでの透のやり取り、全く頭に入ってこなかったけど、島崎さんが負けを認めたと言うことは……僕たちの勝ち?



「もちろんだ!」


「「やったぁぁ!」」


 アリーナと僕はハイタッチをした。




 おっぱいナイーナvsおっぱい崎の勝負


 33対33→70対57


 よっておっぱいナイーナの勝利!

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