第36話 ラッキー・◯ー

ふふふ……この勝負アンタ達が何をやろうとも私の勝ちは揺るがないのよ!


 馬鹿な3組は私がこの貧乳の挑発を真に受けて勝負を仕掛けたと思ってるかもしれないけど、私は勝てない勝負を受けるほど馬鹿じゃないのよ。


 この勝負はいかに数の高いカードをストップできるかで決まる。

 相手の表情とか反応を見るとか言ってたけど、そんなの関係ない。


 このトランプ……私達が勝手に用意したにもかかわらず何も調べないなんて3組の知能の低さには驚くわ。


 一見何も無いように見えるこのトランプ、実は絵柄のカードの右下に小さな傷がある。それさえ触って確認できれば私は絶対に絵柄のカードだけ引くことができる!

 元々勝てる勝負なのよ、これは!



 賭けの対象にもなってた西野を24時間どうしようかしら?

 絶対に私への鞭打ちをやめてはいけない24時でもやってやろうかしら。


 おっと……想像したらよだれが……。




 さぁーて最初のカードは……キズあり!

 これは変えなくていいわね。貧乳のカードは……ププッ……8!

 このままいかせたいわね……。



「あなた……そのカード!?……あっ……しまった声に出しちゃった!」


 少しあからさますぎたかしら? 効果は……。



「ふふふ!どうやら私のおデコのカードは良い数字だったみたいね!私はこれでストップよ!」


 ばつぐんだったわね。



 ーー っていうか嘘でしょ?

 自分で言うのも何だけどまぁまぁな大根演技だったわよ?



「じゃあ私もストップよ!さっ自分のカードを見て!……私は11よ!」


「え? 8!?良いカードじゃなかったの!?」



 貧乳は頭を抱えた。


 私は絵柄の中でも一番小さい数、本当は13とかで差を広げたかったんだけど……まぁいいわ、私の勝ちは決まってるんだし。



「次、二回戦行くわよ!」


「次こそ!」


 私たちは山札から一枚引いた。


 さて、私のカードは……キズなし。


 文句なしでカードは交換ね。貧乳は……12!?何とかして交換しないと。



「あなた……わっ割と良いカードね!」


 この子騙すの下手くそ!?

 こんなのカードを見なくても交換するわ!



「私は交換するわ」


「えっ!?」


 私はカードを捨てた。数字は……4。

 まぁそりゃそうよね。



 山札から一枚引く。

 今回は……やったラッキー!キズあり!



 それはそうとあの子のカード何とか変えたいわね。


 私の演技力、今一度高くなれ!

 神よ、菜◯緒ばりの怖いプレッシャーのある演技力を!



「ゴホン……ゴホン!あなた本当にそんなんで勝負するの?ちょっと気の毒ね……」


「え!?本当に!?……私も交換するわ」


 貧乳はカードを捨てた。



「え!?ちょっと!12じゃない!アンタ騙したわね!」


 ここまで簡単に引っかかる子がいたなんて……。


 続いて貧乳はカードを一枚引いて、再びおデコに持った。



 さぁて次のカードは……はぁ!?また12!?どんだけ引き強いのよ!


 また変えたいところだけど……もうあの演技は通じないし……。まぁいいわ次で低いカードを引かせればいいんだし。



「私はストップで!」


「私も!」


 お互いにストップを掛け合い、数字を確認する。


 げっ……また11、とことん運が悪いわね。



「やった!12、いい調子!」


 貧乳はガッツポーズをとっている。


 まっまぁいいわ、次の三回戦で私は勝てるんだし。


 私は11が二回で22点、貧乳は8点と12点で20点。この時点で私は確実に絵柄を揃える事を考えたらもう逆転は無理。



「さぁて最後、これで決まるわよ!」


 私は勝利を確信して次の山札をめくった。


 おっと……にやけちゃダメよこの試合が終わったら思う存分笑って馬鹿にしてやるんだから。


 私のカードは……キズなし。交換か。


 貧乳は……13!?あの子引き良すぎでしょ!?

 

  ーーここで私の脳裏に一つの考えが浮かんでしまった。


 もしここで私が11であの子が13でストップしてしまったら?

 合計点数で言えば引き分け……4回戦をやってもいいがもしも青野達が戻ってきたら仕掛けがバレる可能性もある。

 つまりこのゲームで何としても終わりたい!



「ねっねぇ!?相談なんだけど次はガチで運勝負って事でこれから七回引き直してそれにしない?ラッキーセブンっていう事で」



「えぇぇ……」


 貧乳は少し怪しんだ顔をしている。


 お願い……乗ってきなさい!



「まぁ……いいわよ、私もあなたの反応とか読み取るかできないし、そっちの方がスッキリと終われそうな気がするし」


 やった!この勝負もらった!


 私と貧乳はカードを捨てた。

 

 私のカードは……5。



「じゃあ引くわよ!」


 私たちは立て続けに6回引いた。


 私、2、6、11!4、8、2、


 貧乳、13、12、13、13、12、10





 なんじゃこりゃ……。





 いや、どんなギャンブルアニメでもここまで引き強いやつ見たことないんだけどぉ!?



「クソぉ〜全部良いカードなのに……」


 貧乳は悔しそうにしてる。

 確かにほとんどいい手なんだから当たり前だろう。



 ほとんどの絵柄カードが出るって某ギャンブル漫画のカ◯ジもビックリしてしまう。鉄骨渡りとかしてる場合じゃない。




「次で決まりよ!引きなさい!」


 そして最後のカードを引く。これで決着がつく。流石にもうこないはず!



 私のカードは……キズあり!もらったわ!



「それじゃあストップなしでこのまま出すわよ!せーの!」


 だん!と二人は同時にカードを出した。


 私は……11。貧乳は……13






 ……13?






「いや、運良すぎでしょ!?なんだよその引きの強さ!?アンタ一回転生して運のステータスに全部ポイント振ったの!?」


「やったぁ!13よ!」


「ど無視!?勝手に私が盛り上がってるだけ!?」


 神様アンタ絶対に恨むから。




 しかしこうなってしまったら急いで次の4回戦をするしかない。

 そして絵柄を……絵柄を揃え……。



「あっ!?」


「何?どうしたの?」


「いっいえなんでもないわ……」


 これまで出たカード……絵柄が全部出てる……。



 ということは次の4回戦、何の策もなしのガチ勝負となってしまう。



「じゃあ合計点も引き分けだし4回戦をやりましょか!」


「ちょっ……ちょっと待ちなさい!」


 マズイマズイマズイマズイ、これで本当に運勝負になってしまう、何か策ないかしら!?



「あら〜?ここまできてビビったのかしら?」



 貧乳が下手くそな挑発をかける。


 アホか。もうアンタの引き運の強さにビビり倒しとるわ!



 ……仕方ない!もうここまできたらやるしかない。神様、さっきはごめん信じてるから。

 良いの引かせてくれたら私の体好きに使っていいから。



「じゃあ行くわよ!これで恨みっこなし!最後の勝負よ!せーの!」


 そして二匹の雌は雄叫びをあげてカードを引いた……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る