第35話 キャットファイト開始
「アンタ達から勝負吹っかけてきたから私たちが試合の形式を決めるわよ?」
「あぁ……好きにしろ」
クソ、勝負の形式まで決められるとは上手く勝てる勝負にしたかったのに……。
「うーん……何にしようかしらね……? ーーそうだ!東次郎!確かトランプあったわよね?」
「はい!ここに2セットあります」
東次郎くんは島崎さんにトランプを渡した。
「決めたわ!このトランプを使って勝負しましょ!」
島崎さんはそう言うとトランプをケースから出し、シャッフルし始めた。
「試合の形式は簡単……一対一で行うわ!このカードの山札から一枚見ないでおデコの近くに手で持ちなさい。
そして相手にはカードの表を見せるように持つの。すると自分のカードは分からないけど相手のカードは見える形になるわね?ここまでが最初にやることよ」
島崎さんはデモンストレーションのように説明しながら実演していた。
この勝負はざっくり言うとこうだ。
相手の反応や表情を読み取って自分のカードを予想する。このカードは嫌だなと思ったそのカードを捨てて山札から一枚またおデコに持っていく。
これに決めたとなれば自らストップとコールをかける。それ以降はカードは変更できない。
その後自分で確認し、その数字が自分の点数となる。ここまでの流れが一連のゲームになっている。
この流れを3回やり、合わせた合計点数が多い方が勝つというものだ。
「もちろん、これは一対一のゲームだから他の人が言葉で伝えたり、ジェスチャーで伝えるのは無しよ」
なるほど、あくまでこれは一対一の勝負ということか。
「何か質問はある?」
「一ついいか?」
透が口を開いた。
「山札から引いてカードを確認する……これを一連のゲームつまりは一回戦としてカウントしてこれを三回戦やり、その合計点数で競うということでいいんだな?」
「ええ……そうよ? 頭の悪い3組には難しかったかしら?」
島崎さんはニヤニヤしている。
「合計点数というのは、お前たち5組の一人と俺たち3組の一人が三回戦まで行った全てのゲームの合わせた点数って事でいいな?」
「いちいち深掘りして確認しなくてもいいわよ!めんどくさい!」
島崎さんはちょっとイライラしている。
「審判はつけなくていいのか?ちゃんとした試合の開始とか確認して方が……」
「いいわよ!そんなもの!私たちとアンタ達がプレイすればもうその時点で勝負なのはわかるでしょう!?これだから無能クラスは!」
島崎さん、口悪いなぁ……。
「さぁ!アンタ達は誰がやるの?こっちはもちろん私がやるけど?」
「ここまで3組を馬鹿にされたら黙ってられないわ!私がやるわよ!」
アリーナが力強く手を挙げた!
女と女の戦いが始まろうとしている。
「……キャットファイトか、胸が踊るな西野?」
「え? 柳瀬くん、胸が踊るっていっても一人は踊る胸持ってないけど?……あれ目が真っ暗になったぞ?」
突然目が真っ暗になった。何かが刺さってる気がする。
「アンタにはこれがお似合いよ!」
「ぐあぁぁぁ!目がっ!目がっ!」
僕の目はアリーナの目潰しによって苦しまされた!
今ならムスカの気持ちが分かる。
「あぁ……あと最後に一つ!」
「何?まだなんかあるの?」
島崎さんは呆れたように透を見る。
「これはお前とアリーナの一対一の個人的な勝負でなく、ちゃんとした5組と3組の戦いという事でいいか?
負けた時、島崎が勝手に始めた事で5組は関係ないとか言って5組のやつらがカードを取られないように言い訳とかいちゃもんつけてくるのを防ぐためなんだが……」
確かに島崎さんの持ってる約90枚もの大量のカードが奪われたら5組の人はなんとしてでも奪われないようにするためにいちゃもんをつけてくるだろう。
「ええ、もちろんいいわよ。まぁ万が一にも私が負けることなんてないでしょうがね」
「柳瀬、撮れたか?」
「……あぁ」
透達は今のを言質として録画したみたいだ。
「……うまい具合に胸部は撮れた」
「よくやった」
彼らは全然違うものを撮っていたらしい。
「さぁて!始めましょうか!」
透のルール確認は終わり、勝負が始まるようだ。
「それじゃあ俺たちはそこら辺ブラブラしてくるわ」
「え?アリーナの応援しないの?」
「どっちにしろ、喋れないし、一対一の戦いだろ?こんな大勢いても仕方ないし」
「ってなわけで、アリーナは大地だけいりゃあいいだろ?」
アリーナは無言で頷いた。
「そんなわけで邪魔もの達は離れますか」
「なっ……おっ俺もか?俺は真由様の近くに……」
「おぅ東次郎もそいつらとあっちいってていいぞ、いるだけ邪魔だからな」
「そっそんなぁ……!」
そして透、柳瀬くん、歩は東次郎くんの腕を掴み離れていった。
「アリーナ!頑張ってね!」
「任せなさい!」
「それじゃあ山札から一枚選んで手に持ちなさい!」
島崎さんとアリーナはお互いにカードをめくっておデコの近くに手で持った。
ついに勝負のゴングが鳴り始めたのだ。
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