第24話 イベントスタート

「皆さん、こんにちは!学年主任の鹿島です」


 全クラスが並び、鹿島先生がその前でマイクを通して挨拶をしている。

 一クラス40人ほどいるため、マイクを使わないと声が届かないみたいだ。



「今回、校庭まで足を運んでもらったのはもちろんイベントを行うためであります。

林間学校前、そして今学期はじめてのイベントなので皆さん頑張ってください!」



 鹿島先生は割と先生の中では優しい方だがただ一つだけ、髪や頭のことに関すると残念ながら豹変してしまう。

 入学式ごろに加藤が鹿島のカツラのことを言ったら狂ったように3組の宿題を増やしたことは昔の話だ。



「イベントの内容は小林先生に紹介してもらいます。では、小林先生お願いします!」



 鹿島先生は小林先生にマイクを渡した。



「みなさんこんにちは! 2組担当の小林です。今日みなさんが行うイベントは……カード争奪戦となります」


「なにそれ?」


「カード奪い合うの?」


「運動っぽいな、めんど〜」


 学年全体が騒ぎ始めた。


 名前からして運動と連想したのだろう。


 頭が良さそうな人たちはめんどくさそうに4組のような武闘派はワクワクしているのが顔からよくわかる。


 ちなみにこの小林先生、先生の中では珍しく、イケメンでとんでもなく人が良いので有名だ。


 巷では学校で女子に一番人気と言われており、男子には一部で嫌われているらしい。

 

 そのせいか……この3組でも。



「けっ!小林の野郎また、女子に色目使ってやるぜ?」


「おいおい、アイツの命も争奪してやろうか?」


「俺はアイツの髪を争奪して、鹿島みたいにしてやるぜ」



 この通り、ゲスの発言をしてる。



「静かにしてください! ルールを説明します!」


 小林先生はマイクを使ってみんなを静かにした。



「えぇーコホン! ……全クラス対抗カード争奪戦とは制限時間内にどれだけカードを増やせるかというイベントです!

カードを増やせる方法は交渉、競争、ゲームなんでも大丈夫です!

しかし暴力は禁止です、カードを持っている者同士の了承を得て行ってください!断っても可です。

そしてカードを全て失った人はカードを一枚また配られて再スタートとなります!」


 なるほど、がっつり運動ということでもなく、なんでもありでカードを奪うのか。



「そしてカードの所持数などはこの電子掲示板に表示されます!」


 サッと小林先生は後ろの巨大な電子掲示板を指差した。


 電子掲示板には1〜6組と書かれており、下には30枚とそれぞれ書いてあった。


 どうやらあれが現在の枚数ということらしい。



「制限時間は3時間となります! ではみなさん張り切って頑張ってください!」


 4組担任の小島先生の合図の元、それぞれのクラスはグラウンドに散らばり始めた。


 僕たち3組の元に櫻子先生が最初に配られるであろうカードを持ってきた。



「お前たち! 準備はいいか?」


「「「はい!」」」


「おっおぉ……どうしたお前らそんな気合い入ってて」


 櫻子先生は急な生徒たちの変わりようにビックリしている。



「先生任せてください! 絶対に一位とってやりますから!」


「もちろん! その後の撮影会も一眼レフで綺麗に撮りますから!」


「先生、私はバッグよりも服がいいかなぁ〜」



「西野……コイツら何言ってるんだ?」


 みんなに聞こえないようコソッと先生は僕に話した。



「さぁ?……みんな気分が高まりすぎて訳わかんないこと言ってんじゃないですか?」


「……そうか……」


 するとステージの方からアナウンスがした。



「それではみなさん! イベントスタートです!」


「お前ら!行ってこい!」


「「おぉぉぉ!」」


 それぞれ3組のみんなは散らばり始めた。



「水着撮影会!水着撮影会!」


「コスプレ!コスプレ!」


「シ◯ネル!シ◯ネル!」


「バ◯ンシアガ!バ◯ンシアガ!」


 みんな狂乱のごとく動き出す!

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