第7話 転校生

 ある朝、学校へ行く途中、前の方に見たことある金髪がいた。


「おーい!歩!」


 割と距離が離れていたのか歩は気づかない。


 歩は男子生徒と何か話している。



「じゃ、お願いね!」



 僕が近づくと男子生徒は話がまとまったのか去っていった。



「ん? 大地か? おはよう!」


 歩は天真爛漫な笑顔で僕に挨拶をした。


 コイツ男じゃなくて、ちゃんとした性格だったら僕も好きになってたのになぁ〜もったいない。



「おはよう、さっきの子と何話してたの? 何かお願いしてたみたいだけど……」


「最近さ、ボクお金ないんだよね」


「ほう……」


「だからボクのプロマイド販売しようと思ってて」


「ほうほう……」


「で今、プロマイドを渡して、売り上げが10万出るまでボクの前に現れるなってお願いしてきたんだよ」


「……ごめん、あの子、一生、歩の前に現れることできない気がするんだけど」


「えー、売れると思うんだけどなぁ〜」


「どんな感じの写真?」


「ん? 顔はボクで体はどっかのエロ動画の女優!」


「詐欺だよ!? 思いっきり!」


 コイツなんてこと考えるんだ。



「リバーシブルで裏面は隠し撮りした大地がエロ本読んで興奮して中腰になっている写真載せておいたよ」


「今すぐ絶版して! 出版元に送り返すようにして!」


 おいおい、僕の勃◯隠しがここ周辺に回ってしまう……。



「それは無理だよ〜、あの人の連絡先知らないし……」


「終わった……」


 お爺ちゃんごめん、孫は社会に殺されるようだよ。



「それより、大地そろそろ学校向かおうよ」


「よくお前はそんなこと言えるな、なんなの鬼なの!?」


「大地の評価なんて元からマイナスじゃん、マイナスからマイナスになってもマイナスだよ?」


 歩は真顔で首をかしげる。



「そうか、なら大丈夫じゃん……ってならないから!」


「早く早く!」


 僕は歩に連れられるまま学校へ向かった。



 ……いつか絶対復讐しちゃる!







「おっ! 来たか二人ともギリギリの登校だな! なんかあったか?」


「透……僕はここに来るまでに友人を一人殺すところだったよ……」


「お前……本当に何があったんだ……?」


 透が心配そうに見ている。



「それより透? なんかやたら男達がそわそわしてるけど何かあったの?」


 歩が座りながら聞いた。


 確かにクラスの男子達は不思議とそわそわしている。



「あぁそれはな……」


「大地、多分みんなボクのプロマイド買ってくれて今すぐにでもトイレに行きたいんじゃないかな?」


「もしそうだったら、今からデ◯ノートにクラス全男子の名前書くか、トイレで全員血祭りにあげてプロマイドを回収してやる」


 やれる、僕ならやれるぞ……



「大地が殺人者みたいな目をしてるとこ悪いが、実はなこのクラスに転校生が来るらしいぞ」


「ヘェ〜、入学して2ヶ月が経ったこの時期に珍しいね」


「……でもどうせ男子だろ? 興味ないね……」


 僕が某ゲームの金髪青年みたいなセリフを言うと、



「女らしいぞ?」


「ごめん透、今からクラス男子全員殺すから席外すね?」


「しかも、ハーフでめっちゃ可愛いらしい……」


「金属バットでいいかな? ……いやゴルフクラブの方が早いか?」


 やれる……僕ならやれるぞ……、




「座れよ〜!」



 櫻子先生が教室に入ってきた、僕らはそれを確認して着席をした。




 いつものように櫻子先生は高校の教師とは思えないグラマラスでセクシーな格好をしていた。



 真っ赤なスーツに中には胸が大きいためか少し前を開けている黒いシャツを着ていた。


 ストッキングを止めるためのガーターベルトが男子生徒達を興奮させる。





「なんかみんなそわそわしてるが今日は新しい友達を紹介するぞ〜入ってこい!」


 教室の扉が開いた。



「ミナサン、コンニチハ!」


「おおおぉぉぉ!」


 男子達の歓声が上がった。


 入ってきた子は赤いロングの髪にハーフだろうか青い目をしていた。


 すらっとした体型でモデルみたいな感じだった。


 顔に関しては言うことがなく一級品だった。



「じゃあ、自己紹介しろ」


「ハイ! エト……タナカ・アリーナデス! ヨロシクオナガイシマス!」


 不慣れな日本語がなんとも可愛い。



「けっ!可愛いじゃん……」


 隣の席の歩がアリーナを悔しそうに睨んでいる。

 いやお前戦う土俵違うけど?


「んじゃあー、席は西野の後ろ空いてるよな? そこでいいや、アリーナあそこな」


「ハイ!」


 櫻子先生は僕たちが座ってる方を指差して言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る