第4話 変化を披露します
昼休憩の時間になった。
僕たちはいつも通り、屋上に行き、座ってご飯を食べていた。
「実際のところさ、お前加恋ちゃんのことどう思ってんの?」
「? どうって何?」
「いやいや、付き合うとかって話だろ!」
「ないね、ないない! サトシのピ◯チュウがモンスターボールに入るぐらいないね!」
「それは可能性ちょっとはありそうだけど……」
「というか、僕に加恋への気がないようにアイツも僕にそんな感情抱かないよ」
僕はそう思っている。
「そっか? 俺はそうは思わんが……」
「ボクは二人ともお似合いだと思うけどね〜」
「何でお前らそこまでして俺たちをそういう関係にさせようとするんだ?」
すると二人は顔を合わせて声を揃えて言った。
「「こじらせ童貞野郎を早く一発ヤラセてやりたいから」」
「お前ら悪口なのか、応援なのか分かんなくなってるぞ」
「まぁ一番なのがお前の悪口に対抗でき、唯一、普通に会話できる女って言ったら加恋ちゃんしかいないからだろ」
「そうそう! 大地がまともに女の子と会話ができないんじゃそうするしかないと思って」
「クッソォ〜 お前ら言いたいこと言いやがって、僕だってな女の子と一つや二つぐらい会話できるさ!」
「じゃあ、あそこに座ってる眼鏡の子と喋ってこいよ」
透が指差すと、静かにベンチで座って読書してる眼鏡の女の子がいた。
「あっあぁ! やってやんよ!」
僕は弁当箱を置いて、その子の方に歩いて行った。
「……大地が泣かすに100円」
「……大地がビンタを受けるに100円」
「なんだよ、二人とも失敗にかけてたら賭けになんねぇだろ」
「それはお互い様」
二人はコソコソと何か喋っていた。
どうせ僕のことをバカにしてるんだろう。
僕は女の子の前に立った。
女の子は俺に気づいたようだ。
女の子は白い素肌が特徴的で本を読む姿がとても似合っていてすごく綺麗だった。
「あの、何か?」
「えっえっとですね」
初対面の人と話すってやっぱり緊張する。
「?」
女の子は不思議そうにこちらを見ている。
まずいぞぉ、このままじゃただのコミュ障野郎になっちゃう。
そうだ、昔読んだあの本、童貞野郎に捧げる〜俺はこれで100人斬りを達成した〜に書いてあった内容を使えば、
「えっえっと、そ、その本面白そうだね! 何読んでるの?」
初対面の人と話すコツ12、その子の興味あること、趣味に共感して話すべし……これであってるはずだ!
「これ? 『人類とは何か〜奴隷制度から分かる人類の愚かさ〜』っていう本だけど?」
絡みにくいやつきちゃった!
なんだよ、その本微塵も興味なんて湧かないよ! 共感するってなに? 無理なんですけど!
「えっえっと……」
予想外の本の内容すぎて打つ手がなくなった僕はいつものように徐々に顔を赤くし始めて恥ずかしくなってきた。
女の子が不思議そうにずっと見つめてくるからである。
「お?来たぞ〜」
「いつも通り正常に動きそうだね〜」
「……その可愛くとぼける顔やめろよ! こんなナンパまがいなことやってるんだから何かあるって気づいてるだろ? そのとぼける顔、なにアンタのマイブーム? やめた方がいいよ! あとその本だよ、面白い物語読んでると思って箱を開けたら中はとんでもないものだったよ! なんだよ人類とは何か? だよそこで終わってればいいけど奴隷制度から分かる人類の愚かさって……アンタみたいな人が読むやつじゃないだろ! 内容が濃いいんだよ! 共感するってなに? 『そうそう、俺も人類って愚かだと思うんだよね〜、うん』 ーーそんなこと言ってるやつやばいやつだろ!」
「ハァ……ハァ……」
またやってしまった。
「おぉ今日もすごいなぁ惚れ惚れするぜ」
「さて反応は……?」
案の定、女の子は体をプルプル震わせて今にも本を破きそうだった。
「好き〜〜!」
女の子は今までの雰囲気とは考えられない大きな声で言った。
「え?」
「「はぁぁぁ!?」」
透と歩も同時に驚愕している。
「えっどっどういうこと!?」
突然起きたことに僕もびっくりしています。
「いやいや! えっおかしいでしょ! ちゃんと聞いてた!?」
透と歩は驚きながら僕たちの近くに来た。
「コイツ、君に割とすごい悪口言ったと思うんだけど……」
透が女の子に問いかける。
「うん、そうだね!」
「それで好き……なの?」
「うん!」
「ちなみに僕の名前とか知ってたりする?」
「知らないし、興味ない!」
何言ってんの?この子は……
あと割とショック受けてます。
「……これは、すごいなぁ」
いつもなら動じない歩が今回に限ってはビビっている。
「あのさ、コイツのどこが好きになったの?」
「胸の中に突き刺さる悪口かな!」
女の子は胸を撫でて、嬉しそうに話している。
「大地……」
歩はこっちを見た。
どうやら悪口を言えということらしい。
「バッバーカ!」
「あぁぁぁん! いい!」
女の子は突然、喘ぎ声をだした。
多分屋上に他の人がいたら注目を浴びていただろう。
それを見ていた、透が手を上げた。
「おっ俺も言えるぜ! ーーブス! このドブス!」
「あ? 舐めてんのこの粗チン野郎?」
急に豹変した女の子は透の胸ぐらを掴んだ。
「ごっ、ごめんなさい……」
「なんなんだこの状況……」
歩は頭を抱え出した。
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