子どもの頃からある美味しいカレー店

もりくぼの小隊

子どもの頃からある美味しいカレー店


 このお店はスーパーの隣にある酸味の強い柑橘系の名前を冠した町で唯一の本格的な欧風洋食店。子どもの頃は買い物帰りや、夏休みのお昼ご飯に連れて行ってもらった思い出があります。このお店の思い出はカレーのイメージが根強いので、カレー店として語ります。


 外観も店内も落ち着いた雰囲気で、子ども心にもお洒落だなと思い、不思議と騒ごうという気分にはなりませんでした。大人しくお水を飲みながら美味しいカレーを楽しみに待っていました。


 カレーの前にこのお店のもうひとつの楽しみがやってきます。実はカレーを注文すると、蒸かしたジャガイモが丸ごと二つ。ステーキやハンバーグを注文すると、スープが付いてきます。これもお洒落に感じる魅力のひとつで、熱々の蒸かしたてのジャガイモにバターを蕩けさせながらパクついてました。ちなみにおかんはハンバーグを頼む事が多かったので子どもの頃はちょっとだけ食べさせてもらってました。クルトンがサクッとしたポタージュスープ。これも美味しかったですねぇ。


 さて、お待ちかねのカレーが来る頃にはジャガイモも食べ終わってます。ジャガイモ二つも食べたらお腹ふくれるんじゃないの? と思われている方もいるかもしれませんが、大丈夫。だって、目の前に現れるカレーは魅力的な登場をするのですから。


 運ばれてきたカレーは魔法のランプに乗ってやってくるのです。テレビでよく見る銀色のあの入れ物ですが、子どもの時は魔法のランプと呼んでました。本当はカレーソースポットと呼ぶらしいですね。この魔法のランプが出てくるのは当時、このお店だけだったので、ウキウキですよ。よく頼んでいたのは、エビカレーとチキンカレー。ゴロッと食べごたえがあったんです。


 この魔法のランプのカレーをかけるライスにはチーズが散りばめられています。その上に煮込まれて野菜も蕩けきったスパイシーなカレーをトローリとかけます。ゴロゴロとしたエビ、またはチキンと一緒に一口食べる。カレーはちょっと辛めな大人の味だけどチーズがまろやかにしてくれて食べやすい。

 お水を飲んで一口、また一口。お皿の横に添えられたピクルスとカリカリ小梅のような不思議な漬物を食べて、また一口。美味しいカレーはいつの間にか完食をしています。


「おかわりしたい」


 食べ終わった感想はいつもこれ。先にジャガイモ二つ食べてるのにもっと食べたいと思うんです。でも、おかんは絶対におかわりをさせてくれませんでした。それは、もうちょい大きくなって友達と食べに行ってわかりました。二杯目を食べると再びジャガイモが二つやってきて想定以上のお腹いっぱいになるんです。物足りないくらいがちょうどよいということですね。



 このお店、最近は種類も増えてカレードリアや平日限定でオムカレーもやっていて、グルメ本や食べログにも載っているそうです。

 実は最近は言ってないから食べた事ないんですよね。近すぎると逆に行かないというやつです。ちょっとだけ値段がお高いというのも理由ですけど、また後悔しないように食べに行きたいとは思います。


 あと、ちょっとだけショックだった事があるんです。クチコミでお客さんが増えたと聞いて嬉しかったのですが、なぜかハンバーグとステーキの美味しいお店として紹介されて、カレーが脇役になってたんですよね。欧風洋食店だから、正しいのかも知れないけどカレーの思い出が強いのでショックが隠せなかったです。今はカレーも美味しいとわかってくれる方も多くなっているので、ホッとしています。



 我が町自慢の欧風洋食店。立ち寄った際には美味しいカレーをどうぞ。


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子どもの頃からある美味しいカレー店 もりくぼの小隊 @rasu-toru

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