カップケーキと恋心

 次の家庭科の授業は翌週の月曜日だった。三、四時間目に通しで授業があった。

 みんなエプロンと三角巾をつけて、先生の注意を聞いたらスタートだ。

「まずはバターをやわらかくするんだよね!」

 梨花が、ふんっと鼻息が出んばかりに勢いよく言った。

「うん。バターをボウルに入れて、それをお湯の入った大きめのボウルに浸けるんだよ」

「それ私がやるよ!」

 恵梨の説明に梨花はすぐに言ってバターを手に取った。まだ箱に入ったままのバター。

「じゃ、梨花お願い。美里と佳奈と私はほかの材料をはかったりしようよ」

「おっけー!」

 恵梨が提案して、同じグループの美里(みさと)と佳奈(かな)も口々に言った。

 梨花が調理実習に超前向きな理由は知っている。だって先週末に言っていたのだ。

 「カップケーキ、うまくできたら国木くんに渡したい」と、二人で帰るときにこっそり教えてくれた。

「でも、作るの月曜日じゃん。六年生、その日、集会があるみたいなんだ。だめかな」

 梨花はしょんぼりしたけれど恵梨は言った。

「火曜日でいいんじゃない? 焼き菓子って二、三日経ったほうが味がなじんでおいしくなるんだよ」

 お母さんに言われたことそのままだけど教えてあげると梨花は、ぱっと顔を輝かせる。

「そうなんだ! じゃ、次の日で大丈夫だね」

 梨花はすぐに明るい顔に戻って、勢いよくこぶしを突き上げた。

「頑張るぞー!」

「うん! 頑張って!」

 梨花の恋を応援したい。恵梨も勢いよく言った。

 そんなやりとりがあったからこそ、梨花は張り切っているというわけだ。

 バターが溶けてやわらかくなったら、そこへふるった小麦粉とベーキングパウダー、砂糖を入れて……卵を割って入れて……。そして甘い香りがつくように、バニラエッセンスを一振り。

「なんか恋の香りって感じ」

 ボウルの中の液体を混ぜながら梨花がうっとり言った。

 そんなことを言う梨花を、なんだかとてもかわいく感じてしまう。

 カップケーキをあげるの、うまくいくといいな。

 恵梨も思った。

 最後にチョコチップも入れて、オーブンに入れた。クラス全部のグループが一度に焼けるわけではないから交代だ。

 自分たちの番が来たとき、梨花はオーブンの前に陣取って、焼けるのをじーっと見ていた。

「大丈夫だよ。焼き時間のくる少し前に覗いてみれば、さ」

 恵梨は言ったけれど、梨花は首を振って「見てる」と言った。やっぱりその様子は『恋する乙女』で。

 美里と佳奈も、梨花が頑張る理由……つまり好きな相手がいて、渡したいと思っていること……は、知っているようで。「梨花、頑張るね」と言っていた。

 さて、焼き上がったカップケーキは大成功だった。

 良い感じに焼き色がついて竹串を刺してみてもなにもついていない。つまり中までしっかり火が通っているということだ。割ってみても生焼けにはなっていないだろう。

 そして漂うのはバニラエッセンスの甘い香り。ほかほかと湯気が立っているカップケーキを手にする梨花の目は、きらきらと輝いていた。

「うまくできた!」

「やったねー!」

 四人で言い合う。

 そのあとひとつずつ試食した。

 ふたつに割ってみたけれど、やっぱり中までしっかり火が通っていて、そしてとてもおいしかった。

 クラスの中で、うまくできたかそうでないかはさまざまのようだったけれど。

 明るい声をあげるグループもいれば、騒いでいるグループもいた。

「なんかカレーの味するんだけど」

「なに入れたんだよ!?」

 そんなやりとりをしている男子グループもいて、家庭科室に笑いが溢れた。

 とても楽しい授業だった。出来上がったカップケーキがおいしくできたことも手伝って。

 女子のほとんどは多めに作って、持ってきていた袋やりぼんでラッピングをしていた。もちろん好きな男子か誰かにあげるのだろう。

 ラッピングをする様子は楽しそうでありながら真剣だった。

 みんな恋をしているんだなぁ。叶うといいよね。

 その様子を見ながら恵梨は思った。

 実際、隣でも梨花が真剣な顔をしてカップケーキを包んでいた。

 ドットの入った袋。

 ピンクのりぼん。

 ポップなものが好きな梨花らしいラッピング。

 そして恵梨にもひとつ、『誰かにあげるぶん』が回ってきた。

 けれど恵梨は困ってしまう。あげる相手なんて考えていなかった。

 これ、どうしよう。帰ってお母さんにあげようかな?

 そう思っていたのだけど。

「なぁ、篤巳」

 ふと声をかけられて恵梨はどきっとした。

 そこにいたのは志賀原だったもので。

 おまけに差し出されたものにもう一度どきっとしてしまう。

 それはカップケーキだった。もちろん志賀原がグループで作ったものだろう。

 それを差し出して志賀原は言う。

「篤巳、お菓子作り、好きなんだろ。味見して感想聞かせてくれよ」

 志賀原は「自分もお菓子作りが好きだ」とは言わなかった。

 それはそうだ、『お菓子作りが好き』ということは秘密にしているのだから。ここではクラスメイトが周りにいるから言うはずがない。

 カップケーキは、おまけにラッピングまでしてあった。

 とはいえ、ただの透明な袋に入れて、アルミのヒモでくくっただけだったけれど。

 でも男子にしては立派すぎるラッピングではないだろうか?

「あ、ありがとう……」

 胸を高鳴らせながら恵梨はそれを受け取った。焼けて間もないカップケーキはまだほのかにあたたかい。

「じゃ、じゃあおかえしに私ので良かったら……」

 せっかくもらったのだ。お返しがしたい。

 そして手元には、ひとつ『誰かにあげるぶん』がある。

 よって言いかけた恵梨だったが、そこではっとした。すぐに困ってしまう。

 綺麗なラッピング材なんて持ってきていない。ラップくらいしかないのだ。こんなものでは格好が悪すぎる。

 戸惑った恵梨を助けてくれたのは隣にいた梨花だった。

「志賀原くんにあげるの? じゃ、これ分けてあげるよ。余分に持ってきたから」

「え、いいの? ありがとう!」

 梨花の助け舟はありがたすぎて、恵梨は梨花の使っていたのと同じ袋とりぼんをもらった。急いでカップケーキを包む。

 なんだか緊張して手が震えてしまったけれど。それでもなんとか包み終わって、待っていてくれた志賀原に差し出した。

「待たせてごめんね」

「いいや。これ綺麗だな。流石、高村だ」

 ラッピング材を褒められた梨花は、ちょっと恥ずかしそうにする。こんな綺麗なラッピング材を持ってきていたなんて、好きな男子にあげるのだろうとバレてしまっただろうから。その相手が誰かなどとは、志賀原は当たり前のように知らないだろうけれど。

「それに中身もおいしそうだし。オレも感想、言うな」

「う、うん……おいしいかわからないけど」

 恵梨の差し出したカップケーキを受け取ってくれた志賀原は嬉しそうだった。

 どうしてこんなに嬉しそうにしてくれるのかわからない。そもそも恵梨のもとへカップケーキをくれる、などと持ってきてくれたことすら。

 ただ、私もお菓子作りが好きだということを知られたからかな。

 思った恵梨だったが、そこへ違う子がやってきた。麗華だ。

「ね、志賀原くん! これあげる!」

 満面の笑みで志賀原に手に持ったものを差し出す。カップケーキはピンク色の袋に包まれてきらきらとした金色の大きなりぼんがついていた。おまけに中身もおいしそうだった。

「ああ、堀。マジで? ありがとう」

 志賀原は振り向いて微笑んでお礼を言い、それを受け取る。

「絶対おいしいから!」

「それは期待できるな」

 麗華は自信満々な様子だった。

 志賀原と短いやり取りをして、そのあとちらっと恵梨のほうへ麗華の視線がきた。多分、恵梨の手の中のカップケーキに。

「志賀原くんは多く作らなかったの?」

「ああ、ごめん……もうないんだ」

 志賀原の返事を聞いて、麗華は心底不満そうに言った。

「ええー、もうないのー」

「ごめん。また調理実習があったらな」

 謝る志賀原と会話をしながら、麗華はもう一度ちらりと恵梨を見た。その目がなんだかじとっとしていて恵梨はたじろいでしまう。

 志賀原は『誰にあげた』なんてなにも言わなかったけれど、志賀原のすぐそばには恵梨がいて、そして明らかに『もらいもの』だという様子のカップケーキを持っていたから見られたのだろう。

 これ、志賀原くんがくれたってわかっちゃったかな。

 なんだかちょっと怖く感じて、次に思った。

 麗華ちゃんはもしかして志賀原くんが好きなのかな。

 それは当たり前かもしれない。これだけ綺麗にラッピングしたものを渡しているのだ。『好きな男子にあげるもの』と考えるのが自然。

 でも、そう思ってなんだか恵梨は胸が痛んだ。ちくちくする。

 おまけに志賀原はそれを嬉しそうに受け取っていた。

 そしてそれも当たり前かもしれない。女子に手作りのお菓子をもらったのだから。

 けれど志賀原がカップケーキをくれたのは自分にだ。

 ああ、また。

 恵梨は自分に困ってしまう。これは図書室のときと同じ、『優越感』だ。

 でも手の中のものが急にしっかりとした質量を持っているように感じた。

「おいしかったか教えてね」

 麗華は志賀原にそう言ってその場を去っていった。それに「ああ、ありがとう」と言って「じゃ、篤巳もありがとう」と恵梨にも言って志賀原も去っていった。

 「うん、私こそ」と言いながら恵梨の頭には先程の麗華のことがぐるぐると回っていた。

 麗華ちゃんが志賀原くんを好きなんだったらどうしよう。

 私、絶対邪魔しちゃってる。

 そう思ってしまって。

 でも、とそこで恵梨は思った。

 自分も流れではあるけれど志賀原にカップケーキをあげることになったのだ。

 そうしたら、気になるのはひとつ。

 麗華のものと、自分の作ったもの。

 ……どっちがおいしいのだろうか?

 志賀原は明日か明後日か……いつかわからないけれど感想をくれるだろう。それを聞くのが楽しみなような、怖いような。

 そしてそんなことを気にしてしまう自分に恵梨はまた戸惑ってしまうのだった。



 次の日の帰り道。

 当たり前のように梨花に「帰ろ!」と誘われた。「二人でね!」としっかり釘を刺されて。「わかってるよ」と恵梨は答える。

 当たり前だ、わかっていた。梨花の話したいこと。

 ……今日、六年生の国木に昨日作ったカップケーキを渡しただろうからそのことについてに決まっている。

 二人での帰り道。途中まではなんの関係もない話をしていた。

 あれ、聞かせてくれるんじゃないのかな。

 思いながらも恵梨は梨花の話すなんでもない話にあいづちを打っていた。

 そのうち公園を通りかかった。梨花が唐突に言う。

「ちょっと寄ってこうよ」

 恵梨はそれで理解した。

 ああ、公園でゆっくり話そうってことか。

 そんなわけで二人で公園のベンチに落ち着いた。ベンチに座ったあと、梨花は大げさに、必要以上にきょろきょろと周りを見回した。

「誰もいないよ」

「わかんないよ、そこの植え込みに誰か隠れてるかも……」

「幼稚園くらいの子しか、入れないよ」

 恵梨は梨花のあまりの警戒におかしくなってしまった。

 けれど当たり前だ。秘密の話なのだから。

 じゅうぶんにあたりを確認してから梨花は口を開いた。

 小声で言いたいのだろう、こちらに少し身を傾けて。

「国木くんに、渡してきたんだ……」

 予想通りだった。恵梨のほうまでどきどきしてきた。

「も、もらってくれた……?」

 聞いてみたけれど、なんだか梨花の言葉には元気がなかった。

 うまくいったのなら「やったー!」といつものように喜ぶだろうに。

 この様子だと、うまくいかなかったのかな。

 心配になってしまう。

 でも梨花の答えは違っていた。

「もらってくれたけどさ……」

 もらってくれた、とは言ったものの、そのあとに続く言葉があった。

「ほかの子も、渡してたみたい。『五年のクラスで調理実習やったんだな』とか言われたから、ほかのクラスの子も渡したかもしれない……」

 ああ、なるほど。

 恵梨はその言葉ですべて理解した。梨花が元気のない理由。

 国木は有名人で、しかもモテる。ほかに渡した子だって、いて当然かもしれない。

「どうしよう……告白まですればよかったのかなぁ……いや、むしろ渡すときにほかの子に言われてるかも……どうしよう、恵梨」

 梨花は不安そうに恵梨に聞いてきた。

 でも恵梨はわからなかった。なにかうまいアドバイスができない自分が情けない。

「う、わ、わかんないよ……」

「だよねぇ……うーん……どうしよ……」

 それでも恵梨が以前「好きな人はいない」と言ったことは知っているのだ。梨花だって、恵梨が的確かつはっきりしたアドバイスをくれるとは期待していなかったのだろう。

 でも「話したい」「報告したい」と思ってくれたことは、とても嬉しかった。力になってあげられなくて恵梨は心底悔しくなった。

「まぁ、次の手を考えるしかないや。……あ、そうだ」

 梨花はとりあえずの締める言葉を言ってそのあとなにかに気付いた、という声を出した。恵梨を見る。

 しょぼんとした様子はもう抜けている。ころころと表情の変わる、梨花らしかった。

「恵梨も志賀原くんにあげてたじゃん。あれはどうなったの?」

「え、ど、どうなったのって……」

 梨花の言いたいことがわからずに、恵梨は戸惑った声をあげた。よくわからないのでとりあえず事実だけを言う。

「おいしかったよ、って言ってくれたよ」

 答えを聞いて梨花は、きょとんとした。

「それだけ?」

 ますますよくわからなくなった。

「え、それだけって?」

「いや、だからさぁ」

 『わからない』という様子全開の恵梨を見て、梨花はやっとはっきり言ってくれた。

「志賀原くんにあげてたんだから、てっきり恵梨は志賀原くんが好きなんだと思った」

 恵梨は仰天してしまう。

 志賀原くんが、好き?

 でも同時に思い至った。

 妙に視線をやってしまうのも。

 近くにいると緊張するのも。

 麗華とのやり取りを見て胸が痛んだのも。

 そして二回感じた『優越感』。

 梨花の指摘がきっと的確なのだ。

 つまり自分は志賀原に恋をしているようで。

 どくんと心臓が跳ねて一気に顔が熱くなった。

 それを見てだろう、梨花は、にやーっと笑った。

「その反応ってことは、やっぱり好きなんじゃないの?」

 否定できなかった。

 そして梨花によってそのあとを引き出された。

 「志賀原くんを見るとどう思う?」だの「カップケーキあげて、どう思った?」だの。

 いくつか質問をして、梨花は言い切った。

「それ恋だって。明らかに。確実に」

 自覚した直後でなにも言えずにいる恵梨を見て、梨花はからかってくる。

「恵梨ったらにぶいねぇ!」

「う、そ、そう、かも……」

 やっぱり否定できなかった。

 梨花に言われるまで自分の気持ちをはっきりわからなかったのだから。

 恵梨はそんな段階だというのに梨花はさらっと言った。

「告白しちゃいなよ」

 もう一度恵梨は仰天した。

 告白!?

 そんなことは百年早い、と思ってしまう。

「む、無理だよ!」

 あわあわ、と手を振った恵梨を見て梨花はもうひとつ、後押ししてきた。

「だって、志賀原くんだってカップケーキくれたじゃん。しかも志賀原くんからきてくれたんじゃん。もしかしてさぁ」

 そのあと言われるであろうことを知った瞬間、恵梨の脳内が沸騰した。

 そして梨花はそのとおりのことを言う。「志賀原くんも、恵梨が好きだったりするかもよ?」と。

 言われて、頭の中は煮え立ってしまいそうだ。

「そ、そんなわけないから! だ、だってさぁ……」

 仕方なく恵梨は志賀原がカップケーキをくれた理由を説明した。

 少なくとも『思い当たる理由』をだ。

 志賀原がお菓子作りを好きだということ。

 これは秘密のことだから、梨花もほかのひとには言わないでね、と最後にもちろん釘を刺した。

 図書館で会ったこと。

 お菓子のレシピ本を一緒に見たこと。

 だから『感想聞かせてほしい』と言われたのだろう、と。

 恵梨の説明を聞いて、梨花はしばらく黙っていた。けれどそれは数秒のこと。

「いや、それは確かにそうかもしれないけど。好きな人以外にあの調理実習のカップケーキ、あげる? ただ味見してほしいってだけで?」

「う、そ、それは」

 確かに女子は九十九%そうだっただろう。

 でもやはり志賀原が同じような考えでくれたかなどわからないではないか。もにょもにょと言った恵梨に、梨花はまたにやにやとした笑いに戻った。

「絶対そうだって! ねぇ、こういうのは早いほうがいいよ! 言っちゃいなよ!」

「い、いや、だから……」

「思い切りが悪いよ!」

 梨花に猛プッシュされるが恵梨はわたわたするばかり。

 ちょっと思い出したのだ。

 昼休み、志賀原に「昨日のケーキ、おいしかったよ」と言われたこと。

 それに自分はとても嬉しくなってしまったのだった。

 恵梨からも「志賀原くんのケーキもおいしかったよ。ありがとう」と言った。

 そのとおり帰ってから食べたそれはとてもおいしかった。それにはくるみが入っていた。ふんわりとした生地に、ちょっと固いくるみは香ばしい味で。自分の作ったチョコチップのカップケーキとは違うおいしさだった。

 その感想もしっかり伝えた。

 でも作ったときにちょっと思ってしまった、「麗華ちゃんのと、どっちがおいしかった?」なんてことは聞けなかった。

 志賀原も特に「堀のよりおいしかった」なんて、言わなかった。

 でも今となっては自分が「どっちがおいしかったか」なんて聞きたくなってしまった、その理由も理解してしまう。

 自分は麗華に知らないうちにライバル心を燃やしていたのだ。

 思って、なんだか胸が違う意味で痛んだ。

 こんなこと単純に麗華に失礼だというだけではない。みにくくない? と思ってしまって。

 以前「麗華ちゃんの邪魔をしている」なんて思ったことは吹っ飛んでしまった。

 むしろ恵梨の中で『邪魔』のポジションになったのは、麗華のほうになってしまったのだと知った。

 やっぱりそんな自分をひどくみにくく感じてしまって恵梨は自己嫌悪を覚える。

 まだそんな気持ちは梨花にも話せなかった。思いついたばかりだったので。

 ひとしきり恵梨をたきつけたあと、梨花はひょいっと立ち上がって言った。小さいけれど、はっきりした声で。

「恵梨には負けないから! 私だって、国木くんに好きになってもらう!」

 その前向きな宣言に、恵梨の自己嫌悪は少し薄らいでくれたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る