第34話初日
夏休みが終わり、二学期が始まった。
夏休み最終日になり宿題が手付かずだったことが判明した姉帯さんと新妻さん。助けを求められて三人で協力して宿題を進めるが寝落ちするという最悪の展開になってしまったぼくたちは、初日から遅刻しそうになるなど波乱の展開で二学期の幕を上げることになった。
遅刻はしないで済んだのだか、クラス中の注目を集めて姉帯さんの家から同伴登校したことがバレてしまった現在。ぼくはクラスの全男子から注がれる、それはもう怖いくらいの視線に晒されていた。正直、教室に居づらいです。
弟月~
うらやましぃ、妬ましいぃ
姉帯さんと密着 姉帯さんと密着
この怨みどうしてくれようかぁ
なんて囁きが聞こえてくる。密かに考えていた友達いっぱい作ろう計画は前途多難なようだ。うん。おんぶで教室はまずかったね。ぼくも焦っていてそこまで考えてませんでした。遅刻寸前だったことを考えると仕方ない、かな。それに、ふたりと一緒にいるとノリに乗せられてしまう。まぁそれが楽しいんだけども。
「弟月くん、宿題どうしよぉ。」一人で冷たい視線に耐えていると隣の席の姉帯さんが不安そうに声をかけてくる。姉帯さんか新妻さんと話をするたびに男子の視線がきつくなるんだけど、そんなことは言ってられない。昨日は結局寝落ちしてふたりの宿題は終わっていなかった。
「マジヤバイ、宿題見直したらミミズみたいな字で何が書いてあるかわかんない。」自分の宿題を見ながら青白い顔をした新妻さんもやってくる。そういえば、最後の方はもう、ふたりとも何を書いてるかわからなかったね。ふたりがやった部分を確認すると、予想以上の出来だった。悪い意味で…。
どうやってもこの状態で今からの提出になったら間に合いそうにない。こうなったら…。
「こうなったら、今日は宿題を集めないことにかけるしかないよ!」
「どゆこと?」
「もしかしたら、それぞれの授業で集めるかもしれないから今日、全部の宿題を集めない可能性もあるってこと。」
「そうか!それならまた今日も帰ってから宿題をすれば!」
「そう、提出に間に合うってこと。」
「やった!やったよ結!まだ間に合うよ!」
「うん!頑張ろうね、明日香!」
「もちろん、ぼくも手伝うよ!」
「うぅ、ありがとう弟月くん、お姉さんは感動しました。」
「弟月くんありがとう。今日も三人で頑張ろうね。」
「うん、みんなで力を合わせて頑張ろう!」
新たな希望に向けて一致団結するぼくたち。今日こそは!とやる気を見せる姉帯さんと新妻さん。ぼくもしっかりとふたりをサポートするために気合を入れなおす。これなら、これならイケる。ぼくたちが力を合わせれば出来ないことなんてない!三人で視線を交わし頷きあう。それだけでお互いのやる気が感じられる。今のぼくたちに不可能はない!
「はい、夏休みの宿題全部集めるから回収な~。」
先生の放った言葉でぼくたちの計画はもろくも崩れ去った。姉帯さんと新妻さんも崩れ去っていた。
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