第34話 光の壁


 ゴバォ!


 竜人が吐いたブレスはまっすぐにマスラへ向かって飛んでくる。


(止められねぇ! )


 マスラは覚悟を決めて目を閉じて両手をかざしたその時だった!


 ボワァン


 不思議な淡い光を放つ壁が突然出現した!


 ゴボガァン!


 淡い光の壁が炎と当たって相殺される!


(おっ? )


 意外な展開に驚くマスラだが、すぐに体が動いた!


(今のうちに! )


 慌てて階段に上って逃げるマスラ!

 光の壁も限界だったようで、すぐに破けて炎が辺りに充満する!


 ボガシャァァァァン


 屋敷が半壊状態になり、大きな空間が出来る。

 それを見て一瞬だけ呆然とするマスラ。


(なんて威力だよ……)



 竜の強さを間近で見て背筋に冷たいものが走るマスラ。


 実際、竜は超威力兵器を使わないと倒せない。

 機人、魔人、修羅は竜に対抗する武器を持っているが、その全ては超大型である。


 それぐらい竜は強いのだ。


 ゴゴォン!


 マスラが恐怖していると急に轟音が響きわたった。


(今度はなんだ! )


 慌てて逃げようとするマスラだが、轟音の理由はすぐにわかった。


 ドゴジャララァァァ!


 炎によって消失した場所に大量の土砂が流れ込んできたのだ!


「やばい! 」


 ただでさえ朽ちかけていた屋敷なのに竜人の炎の攻撃で上に乗っている土砂にも刺激を与えている。


(もうすぐ潰れる! )


 慌てて走るマスラ。


(何とか二階に逃げたから、あとわずかだ! )


 走りながらも状況を観察するマスラだが、お世辞に言っても良い状態ではない。

 そこかしこから雨漏りしており、その水流は時間ごとに増えている。


 マスラが走っていくとようやくトルパスに会えた。


「トルパス! 」


 マスラが叫ぶと向こうも気付いたようでハッとしてマスラの方を見るが……その顔が少し歪む。


「えーっと……マスラ? 」

「そうだよ!何言ってんだよ! 」

「どうしたのその恰好? 」

「恰好って……えっ? 」


 トルパスが廊下にあった鏡を指さしたのでマスラはそれを見た。

 そして呆気にとられる。


「なんだこれ? 」


 マスラの姿はオレンジ色の鎧姿になっていた。


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