第33話 問答


 死霊青年はにっこりとした笑顔で尋ねた。


「君に聞きたい。この大陸の人間を解放する気はあるかな? 」

「えっと……」


 死霊青年のあまりに場違いな言葉にきょとんとするマスラ。


(というか後ろの竜人! )


 竜人は今までにないぐらい大きく息を吸い込んでいる。

 次に来るブレスはシャレにならない威力であるのは確実だ。

 だが、既に死んでいる死霊青年にとっては大した問題ではないようだ。


「この大陸の人間を解放する気があるかな? 」

「ええっと……何をどうするって意味だ? 」


 竜人の方を警戒しながら確認するマスラ。

 いつでもブレスを切って屈めるように準備する。

 

 だが、青年は尚も平然と聞いた。


「この大陸の人間を他の大陸へと誘う気持ちはあるかな? 」

「それならある」


 マスラは警戒しながらも即答した。


(元々の目的はオヤジの音速飛行機を修理してミーブを越えること……)


 マスラついさっきに知った世界の真実に思いをはせる。


(世界はもっと広かったんだ! )


 大陸は一つではなく、いくつも存在しており、虚帆大陸はむしろ小さい方だった。


(俺は世界を旅してまわりたい! )


 マスラは確信を持っていた。

 音速飛行機で大陸の外へ出られる。

 そうすれば世界は大きく広がっているのだと。


「俺は世界の果てまで行くつもりだ」


 確固たる決意をもってマスラは答えた。

 すると死霊青年は嬉しそうに言った。


「では、僕も力を貸そう! 大陸を開放する力を! 」


 ゴパァ!


 死霊青年がそう言うと同時に竜人は大きくブレスを吐いた!

 とてつもない熱量のブレスがマスラへと襲い掛かってくる!


(止められねぇ! )


 マスラは覚悟を決めて目を閉じて両手をかざした!


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