第15話 襲撃
マスラ達がコーヒーを飲みながらワイバーンの捕食風景を眺めていると不意におかしな気配が生まれた。
最初に気付いたのはマスラだった。
マスラはトルパスの前に手を広げて辺りを警戒し始める。
「????????」
「……なんか空気がおかしい」
険しい顔で辺りを見渡すマスラ。
トルパスも辺りを見渡してみる。
マスラは持っていた荷物を手に取り、少しだけ舌打ちをする。
(刀持ってくるのを忘れたな……)
大したことは無いだろうと刀をトラックに置いてきたのだ。
今のマスラは動きやすい上下ともデニムの作務衣にポケットの多いハンティングジャケットを着けた姿である。
動きやすくはあるが、戦いとなると必ずしも有利とはいえない。
空気が悪くなった理由はすぐにわかった。
ガラの悪そうな連中がこちらへと向かってきている。
ぐいっ!かちゃり!
コーヒーをイッキに飲むマスラとトルパス。
「うぃ~っと……」
蜘蛛なのでコーヒーでも酔ってしまうトルパスだが、気合を入れなおす。
(急げトルパス。機人と魔人が居る)
(うん! )
ひそひそ話す二人。
連中の中に体が鉄で出来た人型の機械がいる。
これは機人と呼ばれる種族でれっきとした「人間」なのだ。
そしてその機人の腰のあたりに耳が尖ったチビのおっさんが居る。
こちらは魔人と呼ばれる種族で魔法に長けた種族だ。
すぐに荷物をまとめて立ち上がる二人。
男たちはそんな二人を囲んでしまう。
「おっと、待ちなお兄さんたち……」
6人で二人を囲む男たち。
3人だけ人間だが、残りは機人と魔人と見かけない亜人。
(分が悪いな……)
機人は体が鉄で出来ている種族で『工場生産』で増えるという種族である。
当然ながら機械の体は鉄の攻撃を受け付けないので頑強で、さらに言えば荒事をする機人は内部に銃やブレードなどの武器を内蔵しているし、足から車輪を出して高速で走るといったことも可能だ。
一方で魔人は『魔法』が使える耳が尖った小人で身長が1mぐらいしかないが、いきなり魔法を撃ってくるので危険な種族でもある。
当然ながら、とても二人の敵う相手では無い。
(それにもう一人ややこしい亜人も居るしな)
狐耳にふわふわ尻尾をした巨乳お色気美人が剣をぶら下げて先頭に立っていた。
このメンバーのリーダーの様である。
(何の能力持ってるかわかりゃしねぇ……)
万の亜神と種族が集うこの世界においてはあまり知られていない少数民族の亜人も多い。
そして亜人はなにがしかの能力を持っているので、それがわからないとなると危険極まりない。
狐耳の巨乳美人がニヤニヤ笑いながら声を掛ける。
「お兄さん。宝の地図持ってんでしょ? 渡してくれないかしら? 手荒な真似はしたくないの」
「しゃーねぇなぁ……」
そう言ってゴソゴソと服のポケットをまさぐるマスラ。
そして、すぐにポンと渡す。
「これだろ? 」
「これよ! わざわざすまないわね! 」
そう言って巨乳美人がまじまじとメモを見たその時だった!
ダダッ!
マスラとトルパスは共にダッシュで逃げる!
それを見て、あっけにとられる狐耳の巨乳美人。
「うん? 」
美人はきょとんとしているが、すぐに魔人の男が声を上げる。
「偽物だ! 」
彼女たちが気付いたときにはマスラは店を出ていた!
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