第12話 高速道路
そして数日後……
マスラ達3人は高架高速道路を走っていた。
高速道路は『魔法時代』に大陸の主要な都市を繋ぐ為に出来た道路である。
浄化の炎で焼かれることは度々だが、土台は残りやすいので立て直しやすいのだ。
もっとも大半の高速道路は壊れてしまったし、今ある高速道路も修復して使用しているので、そのまま残ったとは言い難い。
同様の理由で『科学時代』にできた『新幹線』も修復して使用しているのが実情である。
それはそれとして……
いつもの4トントラックなので三人だと運転席は狭いがイサナ村へと向かっていた。
メモが描かれた紙を見て不思議そうにするエミナ。
彼女はいつものツナギ姿で余所行きということでちょっとだけ化粧をしている。
「しかし、こんな紙を狙う人が居るなんてねぇ……」
「おかしな話じゃないだろ? その紙だけじゃ真偽はわからないんだし、大学の構内だから学者さんなら興味もってもおかしくない」
本当に遺跡があるかもしれないのだから、好奇心の強い学者が気になってもおかしくない。
「お前だってわざわざついてくることは無かったんだぞ? 真偽を確かめてからでも遅くないんだし」
「だって、真偽を確かめたら、そこはトレジャーハンターしか行けなくなるんでしょ? 私だって誰にも知られてない遺跡ってやつに入ってみたいし」
そう言って目を輝かせるエミナ。
彼女は彼女で好奇心旺盛なのだ。
運転しているトルパスが言った。
「そろそろバザーだけど、トイレいい? 」
「おう、ちょっと頼むわ。運転変わるか? 」
「お願い」
「わかった」
そう言って高速道路に隣接している巨大なビルに入るトラック。
バザーとは高速道路にサービスエリアのような物だが、この世界では怪物が跳梁跋扈するので普通の市民は遠出すること自体が少ない。
基本、経済は都市内部で完結しているのだ。
だが、村などの小さな集落にとっては都市との繋がりが消えるのは死活問題でもある。
そのため、比較的安全な高速道路に市場を作っていたのが始まりで、ここでは色んな日用品が揃う高速のコンビニと化している。
ちなみに村自体も科学時代や魔法時代に出来た大きなコロニーの中に入っており、こうやって集落を維持し続けたのだ。
エミナは降りてすぐに背伸びした。
「30キロは遠いねぇ……」
「けど、これからもっと遠出ばかりするんだぞ? 百キロ先なんてザラだし」
それを聞いて嫌な顔をするエミナ。
彼女は何だかんだでオブニーコスからは出たことが無いのだ。
マスラは伸びをしてトイレへと向かう。
バザーには色んなサービスが集まっている。
この世界にとってバザーは地元の集落が外へ物を売る唯一の場所でもあるので、こういった売り場が無いと困ることも多い。
普通の村人では怪物と戦えないので、こうやって外との繋がりを求めるのだ。
特にこのバザーは『科学型農業コロニー』の集落なので、メカ大好きのエミナはその辺を見たくてそわそわしている。
「別に慌てる仕事じゃないから見てきても良いんだぞ? 」
「本当? じゃあ行ってくる! 」
そう言って売り場へ向かうオル。
トルパスがそれを見て笑う。
「本当にああいったの好きだねぇ……」
「ま、誰にでも好きなものはあるさ。俺たちはのんびりとコーヒーでも飲んでいよう」
そう言って二人はゆっくりすることに決めた。
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