第3話

集合場所、一〇分前。


彼女が着いた頃には彼はもう着いて居た。


私服姿はセンスが良く、彼に似合っていた。


少し身嗜みを整えてから彼のもとへ行く。


丁度よく一緒に回る予定の友人、真奈美と大河もやってきた。


幼馴染は仲良く二人で来たらしい。


すぐに全員が揃ったことが少しだけ残念ではあった。




しかし、祭りの屋台が見えるころには真奈美と大河は二人だけの世界に入っていた。


よって残された二人で会話する他ない。


そして話題は例のあのクイズへと移っていた。


彼女は声も表情も強張っていて、自分でも緊張していることが分かる。



「で、本当に君に好きな人がいるんだ」


「まぁね、否定はしないよ」



彼は答をはぐらかした。


しかし暗に肯定している。


知りたいと強く思う反面、知りたくないと思う気持ちも燻る事無くあった。


ただ、始まった以上、彼の想い人をどうしても突き止めたい。


その気持ちだけで彼女は勝負に挑んだ。

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