第2話
翌日の朝、空は昨日のように美しいとは言い難い天気だった。
雨は降りそうにないが、雲に切れ目はない。
閉じ込められたようで、憂鬱になる空だった。
一面灰色に塗りつぶされている。
否、それは正しい表現ではない。
象牙色、薄鈍色、鼠色、スカイグレー、薄墨色、鼠色。多くの色が混じっていた。
彼女はメールを開く。一件。昨日彼女が寝付くまでメールをしていた彼からだった。
『集合17時』
あまりに事務的なそれに、また少し陰鬱な気分になる。
そのままスクロールし、昨日のメールを見返す。
昨日は、前日の徹夜による眠気を引きずったまま、朦朧とした意識でメールを打っていた。
『明日って、祭り何時集合? 聞くの忘れてた。
あとさ、唐突なんだけど、君好きな人いるんだよね?
いるならさ、好きな人を当てるクイズやろうよ!
君の好きな人が知りたい(笑)』
『ほう。いいよ別に。
ただ、それをするってことは君も当然いるってことでオーケー?』
『そうだね。君の好きな人が知れることを期待してるよ』
我に返り、彼と交わした言葉を後悔した。
彼の好きな人が知れたらどんなにいいだろう。
しかし、彼の好きな人を知るということは必然的に自分の恋が終わることを意味している。
彼女は彼、有川優斗が好きだった。
どうしてあんなメールを送ったのだろう。
自問自答したが解が得られる訳ではなかった。
自分の行動に腹が立つ。
不貞寝しようとしたが
昨日夕飯も食べず、風呂にも入っていないことを思い出した。
やるべきことを逆算する。
もう既に、直ぐにでも動かなければ間に合わないような時間だった。
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