第三十六話 呪いからの解放

「クリス様が魔族だったなんて・・・」

エアリーは、幼い頃に助けて貰った命の恩人が魔族だったと知り、力無く倒れ込みそうになっていた。

俺は慌てて、エアリーを倒れないように支えた。

「エアリーさん、大丈夫ですか!?」

「は、はい・・・ありがとうございます」

エアリーは一応返事をしてくれたけれど、自力で立っているのは難しいのか、俺に体を預けて来た。

エアリーの体が密着して、柔らかい感触と共にエアリーのいい匂いがして来る・・・。

じゃなくて!

エアリーもショックを受けたかも知れないが、俺も同じ様にショックを受けていた。

頭の中に聞こえてきた声は、この前俺達が獣人の管理地に攻め込んだ時にも聞いた声と全く同じだった。

つまり、エアリーの命の恩人であるクリスと名乗った金髪美少女は、間違いなく魔族だという事になる。

という事は、その後ろに控えている兄貴もまた、魔族だという事だ・・・。

それならば、俺が日本語で話しかけても反応してくれるはずも無いか・・・。

もしかして、兄貴もあの場所にいたのか?

だとすると、ローカプス王国軍を魔法で襲撃した上空に居たのだろう。

俺達と戦ったのはゴブリンと鬼人だった。

こんな街中に、ゴブリンと鬼人を連れ歩く訳にはいかないだろうし、それに、あの時現れたシャルの知人によって倒されたからな。

しかし、兄貴が魔族だったとしても、俺と同じこの世界に転生・・・いや転移か?していてくれた事は、非常に嬉しく思う。

以前の様に、兄弟として仲良くは出来ないだろうけど、それでもかまわないな。

俺は俺で、この世界に来て新しい家族も出来ている。

それに、エアリーと言う恋人?も出来ている事だしな。

兄貴も、クリスの執事となっているようだし、以前のように行動を共にするわけにはいかないからな。

俺が色々と考えている間に、クリスに促されて、教皇が自分の罪を自白していた・・・。

それを聞いた聖女が反論し、周囲の人達も聖女に賛同して騒ぎ出した。

勇者に至っては、剣を抜き、クリスに斬りかかろうとして前に出ていた。

しかし、どういう訳か、女神教の衛兵がクリスに命令されて、勇者を取り押さえる事となった。

操られているのか?

衛兵の表情はどこか虚ろだし、教皇の表情も似たような感じになっている。

人を操れるような、スキルや魔法と言った物は存在しないが、魔族にはその様な事が出来るのかも知れないな。

俺も操られたりするのだろうか・・・。

ちょっと恐ろしくなって距離を取りたかったが、人が周りに大勢いる上にエアリーを抱きかかえていて身動きが取れない。

今の俺には、操られない事を願う事しか出来ないな・・・。

再び頭の中に声が聞こえて来たが、今度は女神の神託に関しての話だった。

内容は俺が大体想像していた通り、神託なんてものは嘘だったことが分かった訳だが。

エアリーを含めた周囲の人達は、女神の神託の事実に驚愕していた。

「そんな、女神様の神託が嘘だったなんて・・・」

エアリーは心の拠り所を失ったショックからか、体中から力が抜け落ちている様子だった。

幸い、俺が支えている為倒れ込む事は無いが、周囲の人達は座り込んでしまったり、信じきれないのか必死に女神に祈っていた。

「エアリーさん、しっかりしてください!

女神様は居なかったのかも知れませんが、女神教の全てが悪だとはクリスさんは言っていませんでした。

クリスさんがエアリーさんを助けてくれた事には変わりは無いですし、私にはクリスさんの言葉が正しい物だと思えました。

何故なら、今回管理地に攻め込んだのは私達の方ですし、魔族側からこちらの街に攻撃を受けた事など無かったのですから」

「そうですね・・・確かに悪いのは、私達の方かも知れません・・・」

エアリーは、俺の言葉に耳を傾けてくれて納得してくれた。

いや、命の恩人である、クリスの事を信じたかったのだろうな・・・。

俺は、ほっと一息ついて安堵していた。

しかし、周りに居た人達から、魔族の事を擁護した事で攻められる事になってしまった。

「おいお前、魔族の言葉を信じると言うのか!」

「そうよ!教皇様だって、無理やり嘘を言わされたに違いないわ!」

「魔族は、魔物で俺達の街や人を攻撃させているじゃないか!」

「あっ、いや、その・・・」

俺は攻め立てられる事となり、返答に困ってしまった。

ここで先程の言葉を否定すれば、騒ぎは収まるかも知れないが、エアリーからは信用を無くしてしまうだろう。

こういう時は、逃げるが勝ちだな!

幸いな事に、大聖堂の玄関からは、クリスや兄貴はもう居なくなっている。

今なら、大聖堂内に逃げ込む事は可能だろう。

そう思っていた所で、俺を監視していた修道女から追い打ちを掛けられる事になってしまった。

「貴方はやはり魔族の仲間だったのですね!

先程の魔族と魔族語で話していましたよね!

勇者様の仲間に魔族が入り込んでいたなんて・・・先程の魔族も、貴方が手引きしていたのですね!」

修道女から、俺は魔族認定されてしまい、更に周囲の人達から激しく非難される事となってしまった。

「そうだったのですか!?」

そして、エアリーからも驚きの表情で見られてしまった・・・。

「ち、違う!お、俺は魔族なんかじゃない!」

「魔族なんかと一緒に居ては駄目です!」

修道女が、俺からエアリーを奪い去ってしまった。

エアリーも特に抵抗しなかったという事は、俺の事を魔族だと疑っているという事だろう・・・。

確かにエアリーが知らない日本語で話した事が原因なのだろうけれど、そんな事より俺の言葉を信じていて欲しかった・・・。

俺がエアリーから信じて貰えなかった事に落ち込んでいた時、背後から勇者の怒声が聞こえて来た。

「貴様!やはり魔族だったのだな!」

面倒くさいが、勇者の事を無視する訳にはいかないか。

俺は振り向き、勇者の方を見た。

すると勇者は、既に剣を抜いており、今にも俺に斬り掛かってこようとしていた。

「待て!俺は魔族では無いし、お前と戦うつもりもない!」

「黙れ!魔族の言葉など信じるものか!」

勇者は俺の言葉に耳を貸すつもりは無い様だな。

と言うより、先程女神の神託が嘘だったと言われたため、勇者もまた嘘だったという事になるから、俺を魔族だと思い込んでいては、話を聞いてくれるはずも無いよな・・・。

「今この場で、魔族の貴様を討つ!」

勇者の目に迷いはなく、本気で俺を倒すつもりの様だ。

仕方が無い・・・。

俺も収納から剣を取り出し、右手で構えた。

杖は、街中で魔法が使えないため、出しても仕方がない。

装備したとしても、今は安物の杖しか持っていない。

支給された上等の杖は、戦場に置いて来てしまったからな・・・。

剣も以前使っていた安物の剣だ。

支給された上等の剣は、ゴブリンに斬り捨てられたからな・・・。

この剣で、勇者の剣を正面から受けるのは無理だろう。

出来るだけ勇者の剣を躱し、どうしても避けられない物だけを、受け流す事にしよう。

俺が勇者に気を取られていると、背後からエアリーの悲鳴が聞こえて来た!

「キャー!」

俺は慌てて振り向くと、アリーヌがエアリーの首筋にナイフを当てている所だった!

「アリーヌ、エアリーさんは俺とは関係ない!」

「そんな事は分かっているよ!あんたが強いのは魔道具を付けているからだろ!エアリーを傷つけられたく無かったら、指輪の魔道具を外しな!」

「いや、これは違う!」

アリーヌに指摘されたのは、俺がいつも付けている呪いの指輪の事だった。

咄嗟に否定したが、それが余計に怪しく捕らえられたみたいだ。

「やはりそうか、魔道具に頼っていたんだな!貴様が勇者の俺様より強い事があってたまるか!」

「これは違うんだ!そ、そう、呪われていて外せないんだ!」

「いいから早くはずせよ!エアリーがどうなってもいいのかよ!」

アリーヌがナイフをエアリーの首筋に軽く当て、エアリーの首から赤い血が少し流れ落ちて来た・・・。

「分かった!外すから、エアリーさんを傷つけないでくれ!」

俺は呪いの指輪に手を掛けて、一気に引き抜いて外した!

アベルに渡されて以来、初めて呪いの指輪を外す事になった・・・。

それがまさか、こんな場所で外す事になるなんて思っても見なかったな・・・。

そして、呪いの指輪から解放された俺は、今まで感じた事が無い解放感を味わっていた。

体全体が軽い!

ちょっと力を込めてジャンプすれば、そのまま空に飛び立てるんじゃないかと思うくらいに、体の重さを感じない。

なるほど、アベルが未だに呪いの指輪を付けている事に納得した。

呪いの指輪から解放された状態では、通常の生活を送る事は困難となるだろう。

今なら、あの時のゴブリンにも余裕で勝つ事が出来るだろう。

しかし、この状態でも管理者に勝つ事は出来ないんだろうな。

それが出来るのであれば、アベルが戦って倒している事だろう。

アベルでも出来ないから、俺にも逃げる時に使う様に言ったのだろうからな。

そんな事より、エアリーさんを助けるのが先だな。

俺は、剣と呪いの指輪を収納に入れ、両手を上にあげた。

「アリーヌ、抵抗しないから、エアリーさんを解放してやってくれないか?」

「お断りだね!」

アリーヌは、エアリーの首にナイフを当てたまま、解放してくれるつもりは全く無い様だ。

仕方が無い、アリーヌを傷付けたくは無いが、ナイフに怯えているエアリーを出すけてやらなくてはならないな。

「魔族よ、死ね!」

俺がアリーヌに気を取られている隙にと思ったのか、勇者が背後から斬り掛かって来た。

しかし、今の俺にはそんな事はどうでも良い事だな。

俺は一気にアリーヌの方へと走り、ナイフを持っているアリーヌの手を優しく掴んでひねり上げ、エアリーを片手で抱いてアリーヌから距離を取った。

「癒しの女神よ、我が力を用いて、傷を癒したまえ、ライトヒール」

俺はエアリーに治癒魔法を掛け、傷付いた首筋を癒した。

「大丈夫ですか?」

「あっ、はい、ありがとうございます」

エアリーは一瞬、何が起きたのか分からない様子だった。

それは、エアリーを奪われたアリーヌも同じで、とても驚いた様子だった。

「えっ、あっ、あんた何をしたんだ!」

驚いたのは俺も同じなのだが、力加減が非常に難しいな・・・。

手をひねり上げられたアリーヌは、俺が掴んだ場所を痛そうにさすっていた。

出来るだけ力を入れなかったつもりなのだが、この感覚になれるのには時間がかかりそうだ。

俺は抱きかかえているエアリーを離した。

「痛い所はありませんか?」

「は、はい、それより、勇者様がこちらに向かって来ています!」

「えぇ、ですので、エアリーさんは大聖堂の玄関の方に避難していてください」

「はい、マティーさん、お気をつけてください!」

エアリーが大聖堂の玄関の方に走って行くのを確認したら、そこに、兄貴達の姿を確認した。

また戻って来たのだろうか・・・出来れば呪いの指輪を外した状態を見られたくはなかったが、二度と敵対しなければいいだけの話だな。

俺は勇者が近寄ってきている気配がする方へと向き直ると、目の前へと迫ってきており、容赦なく斬りかかって来た。

俺は横に避けて躱し、少し距離を取った。

「話を聞いてくれないか?俺は魔族では無いし、お前と戦うつもりも無い!」

「うるさい黙れ!今日こそ今までの決着をつけ、貴様を殺す!」

勇者の目は血走っており、俺の話など聞く耳を持っていないな。

これ以上俺もこいつに付きまとわれるのは迷惑だし、きっちりと決着をつけておくべきなのだろうな。

とは言え、俺が剣を抜いて戦えば、間違いなく勇者を殺してしまいそうだ。

このまま素手で戦うしかない様だな。

「魔族め!これでも食らえ!」

勇者は俺に対して、魔力を押さえ込む魔導具を使用してきた。

確かに俺の魔力は、普通の魔法使いに比べて多いかも知れないが、魔族と比べると少ないと言えるだろう。

多少魔力が減ったような感じはしたが、それで俺が弱体化するという事は無いな・・・。

あの魔道具は魔力を抑えるのであって、俺が使っている呪いの魔道具の様に、筋力を押さえ込むわけでは無いからな。

筋力を押さえ込むるのであれば、大型の魔物に使った際には自分の重さに耐えられず、動けなくなっていただろう。

それに俺の魔力を押さえ込んだとしても、使う魔法は初級魔法で消費魔力は少ないから、大して問題にはならない。

勇者にはそんな事は分かるはずもなく、勝ち誇ったような表情を浮かべて、剣に魔力を流して強化したうえで、再び俺に斬りかかって来た!

当たれば間違いなく斬り殺されるだろうけど、呪いの指輪を装着していた時でも負ける気はしなかったのに、今の状態ならすぐに倒せるだろう。

そう思っていたのだけれど・・・。

ヴァームスが死んだ後に必死に訓練したのだろう、隙のない鋭い連続攻撃を仕掛けて来ている。

その動きをヴァームスが生きている間にしていれば、ヴァームスが死ぬ事は無かったのかもしれないな・・・。

俺は勇者の攻撃を躱しつつ、様子を見る事にした。

勇者の攻撃が隙が少なくなったとはいえ、それでも今の俺なら無理やりにでも勇者を倒すことは可能だ。

だが、それを行ってしまえば勇者と周囲にいる人達は納得しないだろう。

俺は勇者が疲れて攻撃出来なくなるまで、攻撃を躱していく事にした。

勇者は、俺に攻撃が当たらない事に苛立ちを覚え、徐々に以前の荒々しい攻撃へと変わって行った。

「くそっ!何故当たらねぇ!」

「そんな大振りな攻撃、当たるはずが無いだろう・・・」

「うるさい!俺様は勇者で最強なんだぞ!黙って俺様の攻撃を食らいやがれ!」

当たれば死ぬと分かっているのに、食らう馬鹿などいないだろう・・・。

それに、未だに女神に選ばれた勇者だと思っているのだな。

先程教皇がそうでは無かったと白状したのにな・・・。

少し可哀そうかも知れないが、改めて現実を突きつけてやる事にしよう。

「それはお前が偽物の勇者だったと言う事だからだよ!」

「黙れ、黙れ、黙れっ!!俺様は勇者なんだよ!!」

勇者は、狂ったように剣を振り回し始めた。

技術もくそも無いな・・・。

これでは単に、子供が暴れているのと変わりないぞ。

まるで俺が虐めているような感じでは無いか・・・。

避けるのは簡単だし、疲れるのを待つ事にしよう・・・。

「ゼーハー、ゼーハー、ゼーハー・・・」

剣を振り回した勇者は疲れ果て、剣を杖代わりにして、立って居るのがやっとという感じになっていた。

「偽物の勇者の実力はそんな物だという事だ。

お前くらいの実力者なら、上位のCランクの冒険者でも十分勝てると思うぞ。

俺もまだCランクだしな、Bランク以上の冒険者なら、お前なんて敵では無いだろうさ」

「・・・・・・」

勇者は下を向いたまま、俺の言葉に反応する事は無かった。

「くそっ、くそっ、くそっーーーー!」

勇者は剣を投げ捨て、地面に座り込んでしまった。

「俺様は勇者じゃなかったのかよぉぉぉぉぉ!」

勇者は両手を地面に何度も叩きつけながら、泣き叫んでいた。

少し・・・いや、かなり俺が悪いような気がして来た。

周囲の視線もかなり痛い・・・。

俺の方が命を狙われた被害者なのだが、実力の違いを見せつけ過ぎた・・・。

ここは逃げる事にしよう!

もう勇者パーティなんて関係無いし、女神教の所に留まっておく必要も無くなった訳だからな。

「じゃぁな」

俺は泣き崩れている勇者に一声かけ、背を向けてエアリーの所へと歩き出した。

エアリーに近づく前に、呪いの指輪をはめておかないといけないな。

俺は収納から呪いの指輪を取り出して指にはめた。

再び、俺の力は押さえ込まれる事になったが、こうしておかないとエアリーを傷付ける事になるかも知れない。

そして、これから一生、俺はこの指輪無しに生活する事は出来ないのだと、思い知る事となった・・・。

「エアリーさん、もうここに居る必要は無いでしょうから、どこかに行きましょうか」

「行くって、何処へですか?」

エアリーは可愛らしく首を傾げて聞いて来た。

「そうですね、取り合えず大聖堂の中庭へ行って、そこから飛行の魔道具を使ってこの地を離れましょう。

その先は、二人でゆっくり話し合って決めませんか?」

「はい、分かりました」

エアリーはにっこりと微笑むと、俺と手を繋いで来た。

「マティーさんは、私との約束は覚えていますよね?」

「勿論覚えています!」

約束と言うのは、二人で治癒院を開く事だ。

エアリーが、その事を覚えていてくれた事が嬉しくなって、思わずかをがにやけて来てしまうのが自分でも分かった。

待てよ・・・。

俺はまだエアリーに結婚を申し込んでいない!

先ずはそっちの方が先だろう。

しかし、今この場で申し込むわけにはいかないな。

取り合えず、この地を離れる事が先決だ。

俺はエアリーと繋いだ手を引いて、大聖堂の中に入って行った。

エアリーとの今後の事を思い浮かべて、頭の中がいっぱいになっていた俺は、兄貴たちの事をすっかり忘れていた。

大聖堂内に入ると、俺達の前に兄貴達が立ち塞がっていた。

「クリス様!どうしてここに・・・」

「うむ、お前達と少し話をしたいと思っての、われと共に着いて来てもらえぬかの、あーはっはっはっは」

突然の提案に、俺とエアリーはどうしたものかとお互いの顔を見合わせた。

「マティーさん、どうしましょう?」

「俺は構わないですよ、話したい事もありますし・・・」

相手が魔族だと分かっていても、兄貴の事がどうしても気になってしまう。

相手も話をしたいと言って来ている事だし、いきなり殺される様な事になる事は無いだろう・・・と思いたい。

もしここで断ったとして、クリス側から攻撃を受ける様なら、生きて逃げられる可能性は限りなく低い。

それに、他人を操れるような存在から逃げ延びられる訳が無いからな。

「分かりました、クリス様、着いて行く事にします」

「そうかそうか、では魔法で移動するでの、近くに寄って来てくれぬか、あーはっはっはっは」

俺達は手を繋いだまま、言われるがままにクリスの近くに寄って行った。

「では行くからの、あーはっはっはっは」

クリスはそう言うと、呪文も唱えず魔法を発動させた!

「なっ!」

次の瞬間、大聖堂内に居た筈の俺達は、周りを木に囲まれた場所へと景色が変わっていた。

「クリス様、今のは・・・そしてここは・・・」

エアリーは動揺していて周囲を見渡していた。

俺も同じく動揺し、周囲を見渡していると、一軒の立派な屋敷が目の前にある事に気が付いた。

「ここはわれの屋敷だ、ここならばゆっくり話す事が出来るからの」

クリスはそう言い放つと、さっさと屋敷の中に入って行ってしまった。

俺とエアリーが、まだ何が起ったのか分からず立ちすくんでいると、兄貴が声を掛けて来た。

「中に入ってくれ」

「・・・分かった」

「・・・はい、お邪魔します」

俺とエアリーは、キョロキョロと周囲を見渡しながら、屋敷内へと入って行った・・・。

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