第1.5話 幼馴染は女装がしたいらしい……?(由希視点)

 私、三日月みかづき 悠佳ゆきは、いわゆるガチレズであるっ!

 ……なんて、声を高らかに宣言することでも無いとは思うんだけど。

 私はそれこそ小さい頃から割と自分が男子よりも女子に興味があるという自覚があった。

 だからって私はこれを必死に隠そうとは思わないし、むしろオープンにしていきたい所存!

 だって仕方ないよね……。女の子の方が可愛くて柔らかくていい匂いがして……じゅるり――。

 っと危ない。自分の世界に入っちゃうところだった。

 とにかく、私は男子には一切興味なし!それ故に幼馴染の悠佳とも親友以上の仲ではあるかもしれないけど、恋人にはなりえない。

 悠佳とは小さい頃から一緒にずっと過ごしてきた。

 だから、なんというか……、もう家族みたいな感じ。同い年の兄妹みたいな。

 だから何でも相談できるし、信頼もしてるんだけど……、


 とは思うものの、家に帰り自分のベットに倒れ込んで頭を抱える。

 うぅ……、何で今日はあんなことをあいつに話してしまったのか……。

 相手と仲が良いとは言え、普通そういう性的な体験を他人に話すものかな?私!

 それになんか最後へんな雰囲気になっちゃったしさぁ……!

 それもこれも全部駅前のパフェのせい……。

 でもまぁ……、パフェ奢ってもらえるし良いか。あのパフェ、そういえば結構高かったし。そもそも相手は悠佳だし。


 とりあえず……そうだ、気を取り直して、悠佳から借りた漫画でも見ようかな。適当に見たことない背表紙のを借りてきちゃったけど。

 悠佳の部屋無駄に漫画は揃ってるんだよなぁ……と思いながら4~5冊ある漫画をとりあえず、どんなものがあるか見てみる。

 えっとこれは……あっ!あの漫画の新刊じゃん!適当にとってきたのによくやった私。

 えっとこれは、あんまり興味ないかも。

 これは……って――えっ?


 私は一つの漫画の表紙を見て目を疑った。

 こ……これって明らかに……その……えっちな漫画だよね?

 なんか裸の女の子が何人もいるし、R-18マークついてるし!

 とうとうこんな本でも包み隠さず本棚に置くようになったのかな悠佳くーん?

 いつもはベットの下にわざわざ教科書で隠して置いてあるくせに……バレバレだけど。

 まあでもとりあえず……借りてきちゃったものはしょうがないし、幼馴染として悠佳がどんな捻くれた性癖を持ってるか知る権利が私にはある!

 とりあえず中身見てみよーっと……。

 私は恐る恐るその漫画を読み進める。


 ふむふむ……、え?この主人公ってまさか……はは~ん、なるほどな。

 昔ちょっとだけ似合うかな……って思ったこともあったけど、まさか本当に目覚めるとは……。

 いやでもまって、よくよく考えると悠佳の容姿的にちゃんと、しっかりやれば凄くそれっぽくなるんじゃ……。

 これは実行に移さなければ――。

 なんて考えながら、その漫画を全部読み終え静かに閉じると、私はある決意をする。


 よし、決めた!

 私が立派な男の娘おんなのこにしてあげるからね!悠佳!


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 はっくしょん――!

 なんだ、風邪でも引いたかな。あいつから変な話を聞いたせいで気が滅入ってるのかもしれない……。それに変な悪寒も感じるし……。

 今日はもう寝るか……夕方寝たせいであんまり眠くは無いけど……。


 悠佳はこれから自分に何が起こるか一切知らないまま、浅い眠りについた――。


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