第9話 心中

 朝7時・教室にて。


 颯太「昨日は衝撃だったな。」


 回想


 葉月「私と翼は姉妹よ。」


 回送終了


 本当に、姉妹、なのか?


 とりあえず、翼が来たら聞いてみようかな。


 ◯◯◯


 朝8時過ぎ。


 翼「あ、おはよう。颯太くん。」


 颯太「お、おはよう、翼さん。」


 翼「……どうしたの、颯太くん?」


 颯太「へ? な、何が?」


 翼「さっきからずっとこっち見てるけど……何か聞きたいことでもあるの?」


 颯太「い、いや、えっとですね。」


 翼「私が葉月先輩の妹かどうかを知りたいって顔してるけど。」


 颯太「そ、そんな顔なんてしてないよ。」


 …………。


 …………ん? 今なんて言った?


 颯太「あの、翼さん? 今、なんて仰いましたか?」


 翼「うん。私ね、葉月先輩の、いや、葉月お姉ちゃんの妹なの。」


 颯太「この人極論言っちゃった。」


 とんだどんでん返しを食らったような感触だ。


 そうか、姉妹だから葉月先輩から直接聞くことも出来るのか。


 颯太「ち、ちなみにだけど、翼さんと葉月先輩って仲悪いの?」


 翼「ううん、全然。」


 颯太「じゃあどうして昨日は、あんなに仲悪いようにしてたの?」


 翼「いや〜、私たち姉妹って色々な噂があってね。仕方なくその噂に従おうって二人で決めてたんだ。」


 颯太「どうして? 普通に仲良くすれば良いのに。」


 翼「それがそうもいかないんだよ。私は仲良くしたいんだけど、お姉ちゃんの方がね〜。」


 颯太「葉月先輩が、どうかしたの?」


 翼「お姉ちゃんてプライドが有るのか、こう中々表情を表に出さないんだよね〜。」


 颯太「…………。」


『あなたのことが好きです!』


 …………。


 こう考えると、葉月先輩があの時告白の練習をしてたのって、結構すごい事なのかな。


 プライドが高い葉月先輩があんなに必死になって告白の練習をしていたとすると。


 もしかしたら僕はあの日、葉月先輩に告白されるはずだったんじゃ無いだろうか。それを僕は動画に撮って、それを証拠に先輩に脅しなんて。


 颯太「……僕は、なんて酷いことを。」


 翼「ん? どうしたの、颯太くん?」


 颯太「だとしたら、今すぐにでも謝らないと。」


 翼「ちょ、ちょっと、颯太くん?」


 颯太「ごめん、僕今から行くところあるから。」


 翼「……もしかして、お姉ちゃんのところ。」


 颯太「……うん。」


 翼「なら、行かないで。」


 …………。


 あれ、なんで翼さん、僕に後ろから抱きついてるの?


 颯太「あの、翼さん?」


 翼「私ね、お姉ちゃんと話して決めたんだ。」


 颯太「何を?」


 翼「私、お姉ちゃんには負けない。颯太くんは気づいていないかもしれないけれど、気づかせてあげる。」


 颯太「え?」


 翼「私も、颯太くんが好き。」

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