第8話 真実

颯太: 落ち着きましたか?


葉月: ええそうね。ムカつくくらいには落ち着いたわね。


颯太: つ、翼さんはどう?


翼: うん。私はの先輩とは違って最初から落ち着いてたよ。


葉月: 何か言ったかしら?


翼: ハヅキセンパイカワイイー。


葉月: そう、そんなに死にたいなら今すぐにでも逝かせてあげるわ。


翼: 出来るものなら。


颯太: …………。


ああ、全然勉強が捗らないや。


◇◇◇


(キーンコーンカーンコーン)


翼: あ、チャイムが鳴った。


颯太: もう帰らないとね。


葉月: それじゃ、私は先帰るわ。さよなら。


颯太: あ、先輩、またメール送りますので。


葉月: …………。


颯太: 先輩? どうしたんですか?


葉月: ……となり見て見なさい。


颯太: となり? ……ひっ!?


翼: ゴゴゴゴゴゴゴゴっ


葉月: それじゃあ私、行くから。


颯太: あ、はい。ありがとうございました。


◇◇◇


下校中・路上にて。


颯太: ねえ翼さん?


翼: 何かな、颯太くん?


颯太: いやその、親しくしてくれるのは嬉しいんだけど、くっつきすぎじゃないかな?


翼: これくらい今時の高校生は普通だよ?


絶対普通じゃ無いと思うんだけど。


颯太: 翼さんは、葉月先輩のこと嫌いなの?


翼: ううん、嫌いじゃ無いよ。


颯太: ならどうしてあんな態度を取るの?


翼: う〜ん、昔からの習慣、かな?


颯太: 習慣? 二人は昔からの友達なの?


翼: 友達っていうか、その……。


颯太: ん? 翼さん?


翼: あ、ごめん。私こっちだから、それじゃあね、颯太くん。


颯太: あ、翼さん。


行っちゃた。一体、何を隠してるんだろう。


◇◇◇


夜9時・颯太宅にて。


颯太: よし、予習も復讐もバッチリだな。これなら明日の授業も簡単に乗り越えられそうだな。


時計『9時34分』


颯太: もうこんな時間か、少し外を歩いてこようかな。


◯◯◯


颯太: ふぁ〜、眠い。やっぱりこの時期でも寒いな。もう少し厚着してくるんだった。ん? あれは……。


葉月: ……。


どうしてあんな所に葉月先輩が?


颯太: こんばんは、葉月先輩。


葉月: あら、あなたとこんな時間会うなんて、明日は槍でも降りそうだわ。


颯太: 絶対に槍は降ってこないので安心してください。ところで、こんな所で何してるんですか?


葉月: あなたと同じ理由よ。


颯太: 先輩も勉強に疲れたんですか?


葉月: そんなとこよ。


颯太: …………。


葉月: …………。


颯太: …………。


葉月: ……何か話しなさいよ。


颯太: と言われましても、そう簡単に話せるものでは……。あ、それなら。


葉月: ん?


颯太: どうして葉月先輩は、翼さんと仲悪そうなんですか?


葉月: そう見える?


颯太: そうとしか見えませんが。


葉月: そう。やっぱり、他人からはそう見えるのね。


颯太: 何か会ったんですか?


葉月: ……あなたには話しておかないといけないわね。


颯太: え?


葉月: よく聞きなさい、颯太。


颯太: は、はい。なんですか?


葉月: ……私と翼ってね。


◇◇◇


深夜・颯太宅にて。


…………。


まさか、そんな事実が。


回想


颯太: ほ、本当ですか!?


葉月: ええ、そうよ。


颯太: ま、まさか、そんなことが……。


葉月: 驚いてくれて嬉しいわ。あなたのその素っ頓狂な顔、たまらなく面白いもの。


颯太: だ、だって、葉月先輩と翼って。


葉月: でも、これが事実よ。


『私と翼は、姉妹よ』

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