第7話 既知
六限終了・放課後。
よし、それじゃあ早いとこ図書室に行って葉月先輩に勉強を教えてもらわないと。
今日のところは多分、英語を教えてもらうことになるだろうけど。
翼: ねえ颯太くん。
颯太: うん? どうしたの、翼さん?
翼: あの、もしかしてこれから暇だったりする?
……翼さん、ちょっぴり顔が赤い。
颯太: ごめん、先約があって人を待たせてるんだ。
翼: 何か用事でもあるの?
颯太: これから図書室で勉強を。
翼: それって誰かと一緒に?
颯太: うん。葉月先輩と一緒に。
翼: …………。
颯太: あの、翼さん? どうしたの?
翼: へえそうなんだ〜。葉月先輩とこれからお勉強するんだねふ〜ん。そっかそっか〜。
颯太: ……なに、その言い方。
翼: そりゃ〜颯太くんも綺麗なお姉さんの方がいいよね〜。私みたいな普通の高校生には全然興味ないもんねー。私よりも葉月先輩の方をとっちゃうんだそうなんだ。
颯太: え、僕何か悪いことでもしたかな?
翼: ううん、全然。颯太くんは一切なにも悪いことはしてないよ〜? ただ、ただね颯太くん。女の子が『これから暇』って聞いたら少しは期待してもいいんじゃないかな? 颯太くんの目、全然そういう雰囲気出してないもん。いかにもこれから葉月先輩と一緒にお勉強デートしてイチャイチャしようって目をしてる。
颯太: ぼ、僕はそんなつもりはないんだけど。
翼: 今はね。でもこれから颯太くんは葉月先輩をそういう目で見るようになって最終的には葉月先輩を好きになるっていう物語の構成が出来上がってるんだよ?
颯太: なんの物語!? というかどこ情報?
翼: いいんだよ? 私を放っておいてどうぞ葉月先輩とお勉強でもしてくださいな。どんなお勉強をするのかは知らないけど。
颯太: …………。
翼: ああ、私も颯太くんと一緒にお勉強がしたいなあ。あーあ。
◯◯◯
放課後・図書室にて。
颯太: というわけで、連れて来ちゃいました。
葉月: …………。
翼: こんにちは葉月先輩。お会いできて光栄です。
葉月: 帰るわ。
颯太: ちょ、ちょっとストップ、待ってください、プリーズウェィイイイィイィトォオオォオ!!
◇◇◇
葉月: ところで、あなた。
颯太: はい?
葉月: 貴方じゃなくて、そっちの貴女よ。
翼: 私ですか? 何ですか?
葉月: あなた、いつまでそうしてるつもり?
翼: そうしてる、って何のことですか?
葉月: その先輩呼び、どうにかならないの?
翼: へ? 何のことですか?
颯太: ……あの、一つ聞いてもいいですか?
葉月:「何かしら(何かな)?」:翼
颯太: お二人はもしかして、お知り合いかなんかですか?
葉月: はあ。こんな奴とお知り合いなんてなりたく無いのだけれど。
翼: それはもっと関係を深めていっていうことですか?
葉月: 逆よ。赤の他人の方が良かったって意味よ。考えればわかるでしょ。頭大丈夫かしら?
翼: 私より自分の頭を心配した方がいいいですよ? いつまでその才能やら能力やらが続くかわかりませんし。いつしか私に越されても知りませんよ?
葉月: …………。
シュッ。
颯太: ちょ、先輩何してるんですか!?
葉月: 何って、ムカついたからナイフで黙らせてるのよ。
颯太: だからって首筋にナイフを当てなくても……。
葉月: よく見なさい。
颯太: え?
葉月: こいつの片手を見て見なさい。
颯太: つ、翼さん!? なんで千枚通しなんか持ってるの!?
翼: えーっと、護身用?
颯太: 護身用で普通は千枚通しなんか持ちません!
葉月: それにしてもあなた、腕をあげたわね。
翼: 先輩こそ、相変わらずのナイフ
葉月:(…………。):翼
な、なんかものすごい、バチバチしてる……?
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