第33話 Cafe time in Siem Reap(カフェタイム)

僕「山田君、面白すぎてあっという間に、時間が経っちゃいましたね。そろそろ、ランチタイムとしましょうか。このあたりでゆっくりとランチをとって、それからホテルへ戻るとしますか。」


山田「そうですね。俺、お腹すいてきちゃいました。」


僕たちがいたエリアからすぐのところに、カフェを発見した。店の名前は。クメール語で書かれていたので、店の名前はわからなかった。店に入るとボーイが席まで案内してくれた。案内された席は、シェムリアップ川を席から眺められた。2F席だった。街の喧騒も階下に眺められ、心地よかった。配置されていた植材もこのシェムリアップの南国の雰囲気を盛り上げてくれる演出を助けていた。


ボーイ「いらっしゃいませ。こちらがメニューです。」


ボーイは英語で話しかけてくれたので、僕と山田は一安心だった。


僕「ウォーターメロンジュースとフライドロール、サンドウィッチをお願いします。」


山田「俺は、マンゴージュースとポテト、バターロールで。」


ボーイ「かしこまりました。」とボーイは、厨房へとオーダーを伝えにいった。


山田「酒井さん、英語でよかったですよね。これがクメール語だったら、俺たち、わかりませんでしたよね。」


僕「そうだよね。お店の看板が、クメール語だったら、一瞬、どうしようかなっておもったよ。」


二人は、先ほどのマーケットで購入した雑貨を披露した。ワット・ボー寺院の画像なども見直していた。僕は、オープンテラスから見るシェムリアップ川の光景をぼんやりと眺めていた。


山田「このカフェの席、結構いいですよね。俺たち、ラッキーでしたね。」


僕「そうだよね。この席、最高だね。景色もいいし2Fだから、ダイレクトにクラクションの音なども聞こえてこないしね。」


二人が二人、それぞれ景色をなんとなく眺めていた。ボーイが料理を運んできた。


ボーイ「お待たせいたしました。ウォーターメロンジュースのお客様は?」といい、それぞれの料理を運んできてくれた。


山田「このマンゴージュース、フレッシュ感いっぱいって感じで、うまいですよ。酒井さん、ちょっと飲んでみますか。」


僕「サンキュー、僕のウォーターメロンジュースも飲んでみる?」


山田「お言葉に甘えて、一口いただきます。」


僕「このマンゴージュース、フレッシュすぎるでしょ。おいしいね。マンゴーの果汁のしぼりたて感がいいでね。」


山田「酒井さんのウォーターメロンジュースもスイカのみずみずしさが、口いっぱいにわたってきますよ。うまい。」


運ばれた料理を僕たちは堪能した。決して高価な料理ではないが、シェムリアップのローカルさが出ていた。


山田「シェムリアップの気温って高いはずなのに、不快感はないですよね。なんだかさらっとした感じで。」


僕「気温の割に湿度が低い感じですよね。東南アジアの季候って雨季と乾季で結構湿度違うから、同じ気温でもまったく違った感じになるんだよね。」


山田「そういうもんなんですね。俺、今回も酒井さんと一緒に旅行できて本当によかったです。いろいろな経験ができて。」


僕「僕も山田君と旅行できてよかったよ。山田君の若い感覚が刺激的で、次回の出筆にもいい影響が出ますよ。」


山田「マジですか。うれしいです。酒井さんにそう言っていただいて。」


僕「今回のアンコール・ワット遺跡の探訪は、念願の夢だったから、本当に来てよかったよ。資金準備できてもタイミングが悪かったら、なかなかこれませんからね。」


山田「俺もそうですよ。行きたいと思っていてもなかなかチャンスがないとアンコール・ワットまで来れないですよね。俺、酒井さんのこと兄ちゃんのようですよ。頼りがいがあったり。」


僕「そうですか。僕も山田君のこと、本当に弟のようですよ。なんだか他人とはおもえなんだよね。おそらくソウルメイトかもね。」


山田「ソウルメイトですか。酒井さんとなら超、超、俺、うれしいですけど。次は、どの国へ一緒に行けますかね?」


僕「そうだね。次回は、インドネシア バリ島へ行こうかなって思っているんだけどね。バリ島へはもう30回ぐらい渡航しているので、気兼ねなく行けるって感じです。」


山田「そういえば、酒井さん、インドネシア語もお話しできるんでしたよね。」


僕「多少ね。現地へ行ってもあまり困ったことはないですね。」


山田「それはすごいや。俺、尊敬しちゃいますよ。酒井さんっていろんなスキルを持っていらっしゃるので、俺はいつも勉強させていただいてますよ。尊敬できます。」


僕「いやいや、そんなに僕を持ち上げても何もでませんよ。」


僕の肩にどこからか飛んできたアゲハチョウぐらいの大きさの蝶がとまった。山田は少々驚いていた。その蝶は、水色のきれいな透明感をもった色合いだった。


山田「酒井さん、肩に蝶が留まっちゃいましたね。この蝶って、何かのメッセージなんでしょうかね。」


僕「そうかもね。」


僕は、その蝶が肩に留まった瞬間、「ありがとう」と女性のメッセージを受け取った感じがした。おそらく、アンコール・ワットの第二回廊で現れた女性だと直感した。


僕は、そのメッセージへ「こちらこそ、素晴らしい建造物にお邪魔できてありがとうございました。」とメッセージを伝えた。その瞬間、僕の肩に留まっていた蝶が飛び去っていった。というよりは、消えた感じだった。僕と山田の目の前から急に消えたのだった。


山田「蝶が消えちゃいましたね。どこへ行っちゃたんでしょうか。」


僕「そうだよね。消えちゃいましたね。僕たちにありがとうって言っていたように思えましたけどね。」


そういえば、ベトナム ハノイを訪れたときにも蝶が表れて僕に着いてきたのを思い出した。虫ってあの世からの使いといわれたりしますからね。


山田「そういえば、ハノイで食事をしたときにも酒井さんに蝶が留まったような気がしましたけど。どうでしたっけ。」


僕「山田君の言う通りだよ。蝶がいたね。なんなんだろうね。いつも。東京でも仕事で秋葉原の昭和通りの交差点に立っていた時に、いるはずもないアゲハチョウぐらいのコバルトブルーの蝶が、僕の周りを飛んで去っていったことがあったよ。」


山田「酒井さんは、なんだか蝶と縁があるんでしょうかね。」


僕「違うと思うよ。蝶というか虫が霊界からの使いといわれているからね。何かのメッセージを僕に伝えたいのかもしれないけどね。」


山田「そうなんですね。虫ってそういう意味もあるんですね。」


僕と山田はそんな会話をしながら、ランチを楽しんだ。ランチのサンドウィッチもかなりのおいしさだった。僕と山田のランチタイムはシェムリアップのラストディーにしては、なかなかの満足度が高かった。


僕「山田君、ランチはどうでした?」


山田「俺がオーダーしたものはすべておいしかったですよ。席も最高だし、いうことなしですよ。」


僕「満足できてよかったね。僕のオーダーしたものもすべておいしかったですよ。山田君の言う通り席もサイコーだったしね。」


僕はボーイのチェックの相図を送った。ボーイがレシートを持ってきた。僕がいつものように支払った。


山田「酒井さん、割り勘にしましょうよ。」


僕「いいよ。学生に出されるとなんだかさみしいからね。大丈夫ですよ。」


僕と山田は、席を立ち階段を下りて行った。カフェをでると、また街の喧騒の中へと導かれた。


二人は、シェムリアップ川沿いをもと来た道を歩き、戻って行く。シェムリアップ川の夜は、ライトアップされており、よくわからなかったが、日中見ると結構水は濁り汚い川であった。


山田「シェムリアップ川って、結構汚かったんですね。夜はライトアップされていてよくわからなかったですよね。」


僕「そうなんだよね。僕も先ほどシェムリアップ川をみて、汚いなっておもっていたんだよね。」


川にかかっている橋を渡った。歩行者用と車優先の橋があった。よくよくみると橋の入口では、仏教遺跡の街らしくブッダの石像が、その橋を守っているように鎮座していた。日本でいうところの地蔵菩薩のようなものだろうか。


川を渡り切るとナイトマーケットに突き当たった。ナイトマーケットなんだが、昼間も営業している店が結構あった。土産物を見ながら僕と山田は、そのアーケードを通りすぎていった。


その頃には、結構、いい時間になっていた。ホテルへ戻り、シャワーを浴び、帰国の準備をすれば、いい時間になるだろう。もう間もなく僕たち二人は、カンボジアを後にすることになる。なんだか物寂しい感じがした。


今回のシェムリアップ、アンコール・ワット遺跡群探訪もこれにて終了と間もなくなる。



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