第22話 The atmosphere of Angkor Wat(時空を超えて)

僕たちを包み込む風の心地よさを身体で感じ取りながら、ようやく入口の門をくぐっていよいよ遺跡の中へと入っていった。遺跡の門の内側は、まず、中庭のような景色が出迎えた。南国の色とりどりの花々が出迎えた。その木々の間を鳥が飛びまわっていた。鳥のさえずりが現代の喧騒の空気を浄化していった。


山田「酒井さん、ニャン君、この景色を昔の日本人は極楽浄土だと思っていたんでしょうね。確かに、俺には、極楽浄土、そんな感じがします。」


ニャン「その通りですよね。極楽浄土という言葉がしっくりときますね。」


僕「悠久の時間が経過した中でも、昔もこのような景色をアンコール・ワットを訪れた人々は見ていたんでしょう。」


僕たち三人の感じ取った感想は、同じであった。というか少なくても僕と山田の感想は、同じだったはずだ。ニャンは何度かこの遺跡を訪れているのだから、初めて訪れた僕と山田とは感じ取れる印象は違うだろうけれども。僕たちは、中庭の通路を道順に沿って歩いて行った。


先ほどの門からさらに進みもう一つの門をくぐった。そうすると先ほどとは違う中庭に到達した。中庭にも堀があった。おそらく以前は、この堀には水が張っており、睡蓮なども咲き誇ってだろうと感じ取れた。中庭の中心には本殿へと導く路が一本通っていた途中その道からは両サイドに祠が点在していた。その祠にもそれぞれの意味があるのだろう。僕は、その意味とはどんなものなのかを調べてみたくなった。


間もなくすると、僕たちは十字型テラスへ到着した。そのテラスを超えると大塔門へ到着する。その門は、アンコール・ワットを象徴するような建造物であった。大塔門からは第一回廊へとつながり遺跡を一周できるような回廊となっている。


第一回楼では南面から東面、北面、西面と回るようできていた。第一回廊は絵になるというか非常に雰囲気のあるところだった。その雰囲気というのが、誰かがその回廊を守っているとい気を感じ取れたからだ。それが誰だかは、いままだわからないけれども。


大塔門を通過すると十字回廊があり、その両サイドには沐浴の遺跡があった。以前は、本殿へ参る前には、ここで体を清めていたのだろうか。十字回廊を過ぎると、第二回廊へと続くことになる。そちらには、千体仏が立ち並んでいた。この光景は、仏教遺跡たるゆえんであろうか。この回廊は、そんなにも歩く距離があると印象はなかった。大塔門と反対側に、第三回廊へ登ることができる急な階段があった。



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