第8話 To the city at night(夜の街へ)

僕も虫よけスプレーとウェットティッシュ持参し、後はガイドブックをお出かけようのバックへ入れた。もちろん、デジタルカメラもだ。サンダルを履き、動きやすい格好をお互いしていた。夜なので、万が一、走り逃げることが出たときには、二人とも十分に逃げ切れる格好だった。発展途上国では、日本では考えられないことが起こる可能性が高い。外国では、何が起きるかわからない。自分の身は、自分自身で守ることが重要である。二人ともそれは周知済であった。


 僕と山田は、ホテルの部屋を出て、ドアのカギを閉めた。オートロックではないカギだった。部屋番号は、「9」号室であった。この「9」という数字が後程意味を持ってくるとは、この時は思いもしなかった。


オートロックではなく、キーロックの部屋であった。そのあたりは、まだまだ、発展途上の国を連想させる点であった。僕はふと空を見上げた。僕の視界には空の星がすごく近く感じた。空気が澄んでいるためにそのように感じ取れるのだろう。


山田「酒井さん。夜空の星がすごくきれいですね。空気が澄んでるって感じですね。大気汚染も少ないんでしょうね。」


僕と山田は、ルームキーはフロントへ預けなかった。というのも、フロントは電気が消されており、ホテルのスタッフは不在のようだった。まずはホテルの前の路地を左へ向いて暗い夜道、舗装もされていない道をbを歩いて行った。僕と山田は繁華街へと導かれるように誘われ歩いていった。


ホテルの門を出ると舗装されていない路地に出る。その路地を左に曲がり、突き当たったT字路を左へ向かう、そうすると十字路の交差点へ出る。


その交差点では、レストラン?というよりは食堂といった方が似合う印象の飲食店があった。その店には、複数の客が入っていた。入っている客は、外国人観光客のみだった。観光客相手に商売をしているようだった。地元の人を相手にするよりは、アンコール・ワットの入口の街だから、観光客も絶えず来るのだろう。そちらの方が、実施のところ儲かるのだろう。ただ、日本人はない。


その店を左手に少し進むと、僕と山田の前にようやく「ナイトマーケット」と書かれた看板が出てきた。色鮮やかなネオンで赤々と電飾で照らされている。僕と山田は、その看板に誘われ、ナイトマーケットアーケードの中へと導かれた。電飾がきらびやかに光々と輝いていた。ここは先ほどの国道六号線とは全く違った印象である。観光客が行き来をし、活気満ちている。


山田「酒井さん、ナイトマーケットまでの道のりはちょっと、危うい感じがしましたね。 日本では味わえない危険をなんとなく感じちゃいましたよ。」


僕「そうですね。街灯がほとんどなかったから、月明かりだけの暗闇を徘徊してきた感じですね。少し前の日本でもこんな感じだったんでしょうね。今では全く想像もつきませんけどね。さすがにナイトマーケットあたりは、人通りがあり、街灯もまぶしいくらいに赤々と街灯がついていますね。人の多さでなんだかほっとしますね。」


二人とも暗闇の路地では、ほとんど会話がなかった。会話をするというよりも周りの気配を体中で感じ取っていた。こんな暗闇では、不意打ちに会う可能性もあったからだ。海外では、日本と違って油断が命取りになってしまう。先ほどの暗闇から抜け出し、人込みの多いストリートへ到着し、一安心していた。逆に人通りが多いと、スリなどの犯罪に巻き込まれる可能性も出てくるため、用心は欠かせない。


僕たちが出かけて行ったパブストリートは、観光客だけでなく、現地のカンボジアの若者たちでごった返していた。パブストリートといっても、アルコールのみを提供するのではなく、カフェを併設している感じの店が多かった。軽食も出しているようだった。その土地から活気が溢れ出していた。おそらく集まる人々から発せられる気が満ちているんだろう。


山田「酒井さん、パブストリートの雰囲気はすごく生き生きして活気あふれるアジアンパワーを感じますね。」


僕「そうですね。アジアって本当に活気がありますよね。シェムリアップまでのトランジットの香港国際空港ですら、活気満ち溢れていましたからね。」


今まさにこれから成長していくって感じがする国である。そういった地域は、そこに生きている人々にも活気がプラスのエナジーを生み出し、満ち満ちているのが伝わってくる。

パブストリートの雰囲気を楽しんでいた僕と山田の二人、ふと目に留まった店があった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る