第6話 In the room to stay(滞在する部屋で)

僕と山田の案内された部屋は、フロントのある建物を出て、細い中庭へ続く路地の奥ある別館のような建物であった。2F建てのコンクリート造りのものだった。部屋番号は202号室だった。カンボジアの昔ながらの建物を少々期待していたが、コンクリート造りだった。セキュリティー上では安心はできるが、少々趣にかけるものだった。


ボーイ「ようこそ、わたくしたちのホテルへ。酒井さんと山田さんのお部屋へご案内します。私はボーイのロディです。よろしくお願いします。お二人の荷物はこれだけでいいですか。」


僕「これだけです。部屋までお願いします。」


今回滞在するホテルの部屋に到着した。フロントの建物からは歩いて2分程度だった。フロントの建物の裏面に立地していた。薄暗いのかと思っていたら割と街灯の妖艶な明かりがあり明るかった。それに明るさを感じたのは、月明かりもあった。その明かりの多さはおそらく防犯の意味もあるのかもしれないと感じた。僕は夜空の満月を見上げ、今、この時間にカンボジアのシェムリアップへいるんだと実感した。なんだか考え深い思いだ。


部屋の設備の案内をボーイが一通り終え、僕たちの荷物を置き部屋を後にした。2Fの僕たちの部屋には簡単なベランダのような場所もあった。今回の部屋はシングルではなくツインの部屋であった。


僕たちの部屋のベッドのシーツには、純白のバスタオルが蓮の花をイメージさせるようにデコレーションされていた。なんだか、東南アジアテイストって感じがし、旅情を沸きたててくる。僕と山田は、自然とその蓮ようにデコレーションされたバスタオルをデジカメの中へと写真を収めた。


部屋の中は、床が白い大理石のようなタイルだった。非常に清潔感があった。テレビも使えるし、エアコンも冷房が心地よく効いていた。バスルームのシャワーの水圧も問題がなかった。ユニットバスではあったが、ゆったりとしたバスタブもあった。部屋としては申し分なかった。僕にとってはバスルームは滞在ホテルでは非常に需要なポイントである。


僕と山田はとりあえず、それぞれベッドへ腰を掛けた。


窓際のベッドに、山田が腰を掛けた。内側のベッドに僕が腰を掛けた。その段階でそれぞれのベッドは決定した。なんとなくそれぞれ腰を掛けたんだけれども。ツインルームのため、木製のベッドは2つ並んでいる。ベッドとベッドの間にはナイトテーブルがある。デスクとクローゼットも木製でアジアン家具って感じのテイストで清潔感があるものだった。たまに、東南アジアのホテルの場合、イミテーションのものが設置されているケースある。その場合ははずれっていう感じが否めない。でも今回の滞在ルームは、これで問題なしという感じであった。


バスルームはユニットバスになっていたが、白いタイルが清潔に磨いてあり、バスタブもゆったりと足が伸ばせるロングタイプであった。このバスタブであれば、アンコール・ワット遺跡探訪をしても足の疲れも取れる印象を受けた。必要なアメニティグッズもそろっていた。


セキュリティーのため、オートロックの金庫もクローゼットの中にあった。まぁ、とりあえず、パスポート、デジタル機器、貴重品を僕と山田のものを金庫へ収納した。ただ、この大きさの金庫であれば、部屋から持ち出そうと思えば持ち出せる感じではあった。貴重品は、早く金庫へ入れて置かないと、盗難にあってからでは遅いからだ。日本と違い部屋の中といえども油断大敵だからだ。


海外では、日本と同じ感覚のセキュリティーでは、簡単に足元をすくわれてしまう。部屋の施錠は、2重ロックになっていた。ただし、自動ロックでないところは少々不安を感じるところだ。また、ドアの外はうち廊下ではなく外部へ直接つながっているコテージタイプだから、危険度合いも少々アップしてしまう。うち廊下ではないため簡単に外部から部屋への侵入が可能になるからだ。


まずは僕と山田は、荷物をそれぞれの箇所へ置き、一段落着いたところだった。部屋に設置してあるティーセットで一息入れることにした。


僕は、ジャスミンティー、山田には、コーヒーを入れた。備え付けの電気ポットに部屋にセットされていたフリーチャージのミネラルウォーターを入れ、お湯を沸かした。

僕「山田君、ちょっと一息、お茶でもしましょうか。コーヒーとジャスミンティーありますけど、どちらがいいですか?」


山田「俺は、もちろんコーヒーでお願いします。」


僕「了解です。シュガーとパウダーミルクは用意しときますね。今から、お湯沸かしますね。その間にお風呂のバスタブにお湯を溜め始めますね。山田君はお風呂先にする?それもと僕が先でも大丈夫ですか。」


山田「俺は後で大丈夫です。お気遣いをいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。」


備え付けの電気ポットであっという間にお湯は沸いた。そのスピードには本当に驚かされた。二人はそれぞれの飲み物に口を付け、ホット一息入った。


山田「酒井さん、ようやくホテルへ着きましたね。部屋へ着いたので一息入った感じですね。」


僕「そうですよね。ちょっとお風呂のお湯のたまり具合を見てくるね。」


僕は山田へそう告げるとバスルームへと向かった。


僕「お風呂のお湯がたまったようなので、先に入っちゃいますね。」


山田「酒井さんから先にどうぞ、どうぞ。おふろに入ってきてください。俺、覗いたりしなんで安心してください(笑)。」

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