第9話 新しい恋が始まった件

 翌朝、朔の腕の中で目が覚めた。


 朝の日差しが心地いい。


 起きた時に、好きな人が隣に居るって最高に幸せだ。


「おはよ。旬」


 啄むようなバードキス。


「おはよう」


昨夜ゆうべも最高に素敵だったよ」


「朝からそんな恥ずかしい事を…… 」


 顔を見られるのが恥ずかしくて、背中を向ける。


 背後から抱きしめられて、首筋に唇が落とされる。


「どうして? 本当の事だもん。僕ね、朝のセックスが好きなんだ。裸の素肌を合わせながら、イチャイチャして、そのまま1つになるの。最高の1日の始まりでしょ? 」


 いいながら、肩や背中に、チュッチュとバードキスを繰り返してくる。


 オレはキスに弱い。


「あー。 朔って、意外と情熱的」


「そう? 意外だった? 」


「店で会う時はいつもクールにキメてた」


「そりゃ。こんな姿は、愛しい人にしか見せないよ」


「ほら。そういうトコ」


「ねぇ。 ダメ? 朝エッチしよ? 」


「ダメじゃないけど…… 」


 そういうと、後ろから腕が伸びて来て、オレのオレをゆるゆると育てにかかる。


 素直なオレは簡単に反応を示し、否定の言葉を奪い去る。


「ほら。 旬の旬も良いよっていってる」


「言わせたんだろ。もぅ。朔のも当たってる」


 尻に、朔の朔が当たって欲望を伝えてくる。


 こうなると、昨夜の情事が蘇り、一気にお腹の奥がムズムズしてくる。


 完全に欲しがってる。


 いつの間にか、朔の手にはローションが出され、手のひらで温めていた。


 おいおいおい、と思っていると、尻の蕾に優しく塗られ、指がゆっくりと抵抗も無く入ってきた。


「は…… ぁ…… 」


 思わず声が漏れる。


 長い指でひと通り中を確かめると、今度は指が抜かれ、朔のモノの太い竿の頭の部分で、ゆるゆると撫でられる。


 オレの付け根と、果実の袋にも当たって、最高に気持ち良い。


「朔。もぅ、…… 焦らしすぎ」


「そ? どうして欲しいか言って」


「すぐ、そうやって恥ずかしい事言わせようとする」


「恥ずかしい事を言わせたいんじゃない。僕を欲しがってほしいんだ。ね、旬、言って」


「朔が ……欲しい。奥まで、来て」


「あぁ、かわいぃ」


「んぁ。 …… あぁ」


 後ろから一気に突かれた。


 激しい衝撃にクラっとくる。


「あっ。キツイ。この体位、更に締まって気持ちいい」


 背後から伸びた左手が、胸の突起を弄ぶ。


 右手は、前の中心を撫で摩る。


 後ろを突かれ、躰中を駆け巡る痺れた快感に息が上がり、何も考えられなくなる。


 あぁ。キスが欲しい。


 躰を捩って顔を向けると、食むようなキスをされ、多幸感に包まれた。


 もう、好きだ。


 好きで、好きで、堪らない。


 オレのベクトルは、磁石のように、朔の方に吸い寄せられたのだった。


「僕、マンションに引っ越そうかな? 」


 朔の好きな朝の営みを終えたものの、どうにも離れ難く、2人はベットで微睡んでいた。


「えっ? どうして? 」


「んー? 分からない? 」


「だって、ここの生活は快適だって」


「それは、1人だからでしょ? 」


「それって」


「うん。旬と一緒に暮らしたいなと思って」


「嬉しいけど…… オレまだ学生で、収入無いよ」


「そこなんだよ。やっぱり、親御さんに挨拶しなきゃだよなぁ。こうやって外泊もさせてるし…… 僕は本当に悪い大人だ」


「もっと、アルバイト増やそうか? 」


「お金の事は心配ない。これでも社長だよ? ソコソコ稼いでいるんだ」


「ところで、朔の仕事って、どんな感じなの? 詳しく聞いた事無かった」


「美容系サロンの経営」


amenoアメーノの3階の? キレイ素肌ラボ?」


「そこもそう。3〜5階は全部かな。あと、都内に数店舗と、横浜と、福岡と、札幌」


「えっ? もしかして、キレイシリーズ全部?

 エステとか、ネイルとか、マツエクとか?」


「なんだ。知ってるじゃない」


「なんだ。って、えーっ‼︎ 顔出しNGのイケメン社長って、森國社長だったの⁉︎ 」


「そんな風に言われてるの? 知らなかった」


「…… オレで良いの? そんな凄い人が、オレなんかで良いのかな…… 」


「何言ってるの? 旬、良いんだ! もう、好きになっても…… 良い? 」


「……うん」


 触れ合う唇は何度も角度を変え、甘く甘く溶け合った。




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