第2話 南海大地震

昭和19年12月7日午後1時36分から、紀伊半島東部の熊野灘、三重県尾鷲市沖約 20 km .... 気象庁によれば地震規模を示すマグニチュードは 7.9 と推定されている。

とすれば、家屋が倒壊するほどの揺れだったはずだ。このとき、私はどこにいたのか。祖母の話によると、地震の時、祖母が心配して行ってみると、泣き叫ぶ赤子を捨てて、母は自分だけ真っ先ににげたらしい。その時の思い出を、何度祖母に聞かされたことだろう。祖母は笑い話として語るが、聞かされる子供の心に、どんな影を投げかけるか、祖母も母もなんの配慮もない人々であった。

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