-36-「ごめん! 諸君!」

病室を出て右、医者と看護師が襲いかかる!



八幡君が肩や太ももを撃ち抜く!



ナースステーションから看護師がたくさん現れた!



八幡君が最高の笑顔でガトリングを取り出し、金曜ロードショーさながらハンドルを回す!


撃ち出される弾丸は、次から次へと看護師たちをなぎ倒していく!



八幡

「あっはっは、ははははは!!!」



あぁ、もうダメだ。八幡君、楽しくなりすぎて自制が利いていない。



そこに突如、トイレから患者が飛び出してきた!



水本

「あ、危ない!」



水本君が咄嗟に手をかざすと、患者は空中で吹き飛ばされて、壁に叩きつけられた!


水本君は震え、その場にへたり込んでしまった。



水本

「や、やっちゃった。どうしよう。」



八幡

「なぁに、もっとやるんすよ。楽しくなってくるんすからねぇ!」



狂気だ。


トリガーハッピー少女と、震え怯える少年。


どうしよう。



水本

「あっ!」



水本君がまた手をかざした、その先は私の後ろ。


振り向くと、恐ろしい形相の女性が念動力で捕らえられていた。


その手には、ナイフ。完全に私を刺し殺そうと……。



木島

「へぇぇ……。」



こんな、あからさまな殺意を向けられると、落ち込む。それに、力が抜ける。



八幡君が、女性の太ももに2発撃ち込む。女性は断末魔をあげた。念動力が解除されても、なおも動けないでいる。



八幡

「リーダー。なにしてんすか、ほれ。立って。」



私はすっかり萎縮して、八幡君の後ろをついていくことしか出来なかった。



八幡君が一帯を蹴散らし、ゲリラ兵は水本君が足止めをする。


そうして、私たちは玄関まで辿り着いたのだった。



しかし、そこを照らしていたのは赤色の明滅。



八幡

「なるほど。警察も呼んだんすね。」



木島

「捕まる!」



八幡

「まさか。カメラは全部壊してありやす、記録はないっす。洗脳された奴らも、単調な動きしか出来ないっぽいし盗撮してることもないっすよ。


だから、弱々しいJCを装っていきましょ。」



八幡君は、まさか、え、冗談だろ。



バスン!


バスン!



太ももに走る激痛!


いっ……た……!!!



水本君も太ももを抱えて、大泣きしている。



そして、八幡君は自分の太ももにも躊躇いなく撃ち込み、太ももを抑えて大笑いしながら転げていた。正気か。



警察は入ってくるなり、私たちに駆け寄った。



「大丈夫か!?撃たれたのか!?」



八幡

「ぎひっ、犯人は、銃を持ってて……巨乳で、エロティックな美人、っす。」



犯人は君だ。盛るな。



だが、これは植物人間にも誤算だったようだ。



警察に捕まえさせるつもりだったのだろうが、八幡君はすべてのカメラを壊していたし、それに躊躇いなく味方と自分を撃ち抜いて瞬時に加害者から被害者へと変装したのだ。


認めたくはないが、おかげで無事に病院から抜け出すことが出来た。



私たちは、救急車に乗せられた。


しかし、八幡君が強引に救急車から逃げ出し、私たちもそれに続いた。



木島

「も、もう勘弁してくれ、八幡君。」



八幡

「まだ殺してないっす。旦那のためっすね。


さて、どうするか。隣のビルから狙撃か、あるいはロケランでも……。」



私と水本君がすっかり憔悴した頃。



見覚えのある黒い何かが、足元に現れた。



木島

「い、インヌ!なぜここに!」



インヌ。全身真っ黒なボーダーコリーだ。



インヌは、私たちの周りを1周し、病院へと駆け出していった。



そして、数分後。


洗脳された人々は、きょとんとして、そして弾丸被弾の激痛で転げ回っていた。



植物人間がどうなったかは知らない。



だが、おそらくは……。



あの後、インヌを見ることはなかった。

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