§5 七人ミサキの怪をやっつけるぞ、諸君!

-31-「あいつらは何なのだ、八幡君。」

ここはOpeners相談所。


地下にあって、なかなかオシャレなバーなのだ。


私が思い描く『かっこいい大人が行くところ』ってこんなイメージなのだな。



それはともかく、いきなり現れた7人の不審者が、よく分からんことを言って、そしたら伊月君が倒れちゃって……。


私はボランティアの人たちに助けを求めて、なんとかここまで運んできてもらったのだ。



ボランティアの人たちは心配してくれた。心から感謝してるのだ。


でも、あんまり深入りはしてほしくないのだ。なにかの拍子でOpenerなことがバレたらマズいから。



ということで、今は伊月君をソファに寝かせて、私たちは看病をしている。


伊月君は凄い高熱で、もうどうしよう。


救急車呼んだ方がいいって言ったんだけど、八幡君が、「もし病院で旦那のシールが暴走とかしたらどうすんすか。」って脅してくるから、なにも出来ないでいる。


水本君が一生懸命に濡れたタオルを作って額に置き、氷枕を入れ替えてくれているが……。



私とて、これは看病すれば治るものじゃないというのは分かっている。


たぶん、あの不審者のせいなのだ。


データリストを見たところ、『七人ミサキ』というチームらしいが……?



八幡君にアドバイスを乞いたい。



でも、八幡君は……その。伊月君の、ええと、股間のところを揉んで、にやけている。


話しかけづらいが……緊急事態だ!



木島

「あ、あのだな、八幡君!そんなことをしている暇はないぞ!」



八幡

「まぁまぁ、リーダー。ほら触ってみてくだせぇ。本人はぐったりしてんのに、こっちはガッチリしてますぜ。


うわぁ、こいつぁデカい。水本と比べ物にならないっすな。」



水本

「ぼっ……僕は関係ないでしょ!」



木島

「や、やめたまえ!恥を知れ、八幡君!」



八幡

「へーへー。


で、七人ミサキっすか。」



八幡君はカウンターの席に座り、腕を組んだ。



八幡

「妖怪っすな。七人ミサキ。


1人殺して1人成仏する。だから七人なのはキープされ続けるっていう、なんというか、自殺サークルじみた妖怪っす。」



木島

「そんな……じゃあ伊月君は!?」



八幡

「あの言い分だと、明日にゃ七人ミサキの仲間入りっすな。」



木島

「ど、どうすればいいのだ!?絶対やだぞ、そんなの!」



八幡君は首を傾げた。うーん、って唸ってる。



八幡

「妖怪倒せったって、ねぇ。倒し方どころか、エンカウントの仕方さえよく分からんすからね。」



木島

「そこをなんとか!」



水本

「お願い、八幡ちゃん!伊月さんが死ぬなんてやだよ!」



八幡

「ったく。私とて本望じゃあねぇっすよ。私の初セ最有力候補に死なれちゃたまらんすからね。


なにはともあれ、情報が足んないっすよ。ほれ、私はここで旦那のち◯こ揉んでるんで、情報集めてきてくだせぇ。」



八幡君。不健全だぞ。



しかし、今は八幡君の言う通り、急いで情報を集めるしかない。



木島

「水本君、廃ビルへ戻ろう。情報を集めるぞ。」



水本

「はいっ、リーダー!」

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