-30-「天啓」
俺は、草原にいた。
青い空と草原。一本だけ木が生えている。
その木の下に、見覚えのあるソファと、見覚えのあるジャージ女がいた。
女は、ソファで足を組み、俺を手招きした。
「こっちおいでよ。」
俺は意識も曖昧なまま、言われた通りに歩いていく。
「まぁ、座りなよ。」
ソファに座る。
柔らけぇ。
「あのさ、伊月君。語り手がぶっ倒れてどうすんの。」
なに? 語り手?
「君はこの物語を進める義務がある。しっかりしてくれよ。」
なにを……言ってんだ?
「仕方ない、語り手を代わらせておくよ。
今後もこういうこと、あるかもしれないが……極力無くしてくれよ。主人公を変えるってのは手間がかかるんだ。」
女は、草原に立ち、背伸びをした。
「ま、気張ってくれたまえ。
君は僕に選ばれたんだ。責務を果たしてもらわないとさ。」
……わけわからん。
わけわからんが、ここは心地いい。
俺は、ソファに深く腰掛けて、深呼吸を何度も繰り返した。
はぁ。
あいつら、大丈夫かな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます