-29-「清掃」

廃ビル。


これ、このまま放置しとくの危険だと思うわ。壁なんか無いところあるし。


でもまぁ、取り壊しも金かかるからな。



伊月

「世知辛いねぇ。


で、あいつらは。」



八幡

「さぁねぇ。呼べば来ますよ。」



伊月

「適当言ってんな。


おーい、木島、水本!」



名前を呼んだら、廃ビルの中から本当に出てきた。



木島

「おぉ、2人とも!調子はどうだね?


見ろ!もうゴミが10袋も集まったぞ!」



水本

「ここはゴミだらけで豊作だよ!


あれ、2人は……何袋?」



八幡

「コブクロ。」



伊月

「俺、あんな辛そうに歌わねぇよ。


いやー、すげーなー。俺たち1袋も集まってねーよー。すげーなー。」



適当に褒めたら、2人はめっちゃ得意げになった。



木島

「ははは!気分がいい!」



水本

「もっと褒めてもいいよ!」



俺と八幡は適当にヨイショする。


2人はあれよあれよと図に乗っていった。



ふと、俺は足元に落ちていた封筒に目がいった。



伊月

「ん。なんじゃこれ。」



木島

「んんー? そんなの落ちてたかな。


なにも書かれてないなぁ。開けてみよう!」



木島は俺から封筒を取り上げ、勝手に開封してしまった。



木島

「お、手紙が入ってるな。よーし、読んでみよう!


えーと?」



伊月

「おい、表裏反対だ。


『おまえを見ている』って書いてあんな。暗殺ギルドかな?」



木島

「あ、ズルいぞ!私が読みたかったのに!


……ん。」



木島は、辺りを見渡す。



俺もそれにつられて、辺りを見渡した。



……いつの間にか、俺たちは囲まれていた。



八幡

「なんすかぁ? やるんすかぁ?」



伊月

「待て!」



相手は7人。


だが、ヤンキーってわけではなさそうだ。


リーマン、JK、主婦、ジジイ……バラエティ豊かだ。



なんだ? こいつら。



身構えていると、7人は口を揃えて叫んだ。



『良い一日を。明日には君も仲間だ。』



途端、俺は目の前が真っ暗になって、足元が覚束なくなる。



たぶん、ぶっ倒れた。



遠くから、3人の声が、聞こえるような、聞こえないような。



なんだ。


俺、疲れちまったかな。


ダメだこりゃ、眠い。



あぁ、お前ら。明日は七時に起こしてくれ。



よろしく。

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