§4 ゴミ拾いでご奉仕なのだ、伊月君。
-26-「奉仕」
八幡
「ゴミ拾いのボランティアぁ?
旦那ぁ、急にセンス無くなりやしたね。八幡は残念で仕方ないっすわ。」
伊月
「バカ。長い目で物を見ろ。これは好機だぜ?
俺たちの名を平和に広げていくためにゃ、これがいいんだ。」
木島
「たくさんの事件を解決した方が有名になれるぞ!」
伊月
「大バカ。
こちとら未成年囲んでんだぞ。お前らを使うこと自体が犯罪なんだっつーの。早く高校生になれや。」
八幡
「なっはっは、そこは安心してくだせぇ。そうなりゃ『ボランティア』って言いますぜ、私たちは。
んなことより、ボランティアはイヤっすよ。面倒っす。」
伊月
「面倒なことの積み重ねだぞ、有名になるっつーのは。」
八幡は舌打ちして、俺の寝床に寝そべった。生意気な。
対して、木島と水本。
こいつらは、まぁ素直に頷いていた。
木島
「大切な仕事だな!一番たくさんゴミを拾って、超有名になろう!」
水本
「ゴミ拾いは得意だよ。こっそり能力……シール、だっけ。それでゴミ集められるからね!」
本当、八幡はこいつらを見習え。
愚直なまでにガキだぞ。
いや、ある意味で大人らしいわ。イヤなことも文句言わないもんな。
伊月
「褒めてつかわす。参加者には、この前の報酬でなにか褒美をくれてやろう。」
八幡は急に起き上がり、俺の前に立って手をこね始めた。
八幡
「なんだぁ、そのつもりなら最初から言ってくださいよ、旦那ぁ。私、ヘッドセット欲しいんすよぉ。」
このヤロー。
だが、まぁいい。これで参加者は揃った。
伊月
「よし。じゃあ3人申し込んでおくからな。」
八幡
「ん? なんかおかしいっすね?」
木島
「ふむ。なんだ、この違和感は。」
水本
「あっ。伊月さんが入ってない!」
伊月
「当たり前だろ、面倒くせぇ。
じゃ、俺は昼飯買ってくるから。お前らここで留守番してろよ。」
去ろうとしたら、大ブーイングと共に俺の服を後ろからめちゃくちゃ引っ張ってきやがった。
木島
「ダメ!それはセコいぞ伊月君!」
水本
「伊月さんも一緒に行くんだよっ!」
八幡
「撃つっすよ。」
伊月
「やめろコラ!引っ張んな!」
木島
「なら君も参加、するんだ、よっ!」
水本
「ぐぬぬぬ……!」
余りに強い力に服を引かれる。
これ、水本の念動力か!
やべ、なんかブチブチ音がする!
服が!服が破けちまう!
ビリッ。
そして俺は、背面だけ裸っていう、昔のギャグ漫画みたいな恰好になっちまったとさ。
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