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香坂は器具を使いながら、私にエステを施す。
「手順と指使いを脳に刻み込め」
「はい」
一時間近くかけゆっくりとエステをし、最後に顔を近つけた。
「ひゃぁっ……」
鼻先が触れそうな至近距離だ。
「……みんなが……リビングに」
「は? わかってるよ。何を勘違いしてんだよ。チェンジだ、代われ」
「チェンジ!? は、はい!」
また……キスされるかと思った。
私……どうかしてる。
自意識過剰にもほどがある。
香坂にエステをされ、美容液が浸透し肌はしっとり赤ちゃんのきめ細かい素肌に戻った感じがする。
何度体験しても、『気持ちいい』としか表現出来ない。
「いつまで余韻に浸ってんだよ」
「浸ってません」
意識している私は、完全に香坂の指先の虜だ。
香坂は私のベッドに寝転ぶ。美男がベッドに横たわる姿は、性格が最悪でもセクシーに見えるから不思議だ。
「ハンドマッサージの練習をしろ」
「はい」
ドアがノックされ、諸星と恭介が顔を覗かせる。
「「見学でーす」」
諸星は笑顔だが、恭介はムッとしている。私のベッドに横たわる香坂、私は香坂の顔を指先でマッサージしている。
「ボディエステもしてるの?」
サラッと問う諸星。
恭介はツカツカと近付き、私の手首を掴んだ。
「ボディエステも練習してるのか? 蓮さんではなく、俺のカラダで練習しろ」
早とちりの恭介は、バッとブラウスを脱ぎ捨て上半身裸になった。
スポーツジムに通っている恭介の裸体は、筋肉質だが腹筋も割れていて逞しい。
「わあおぅ! 恭介さん、意外とマッチョなんだね。人は見掛けによらないな。その裸体を見れば女性客はメロメロだね。上半身裸で仕事すれば?」
諸星は恭介の胸をバンバンと両手で叩いた。
「そうですか? 顔はフツメンですけど、カラダはイケてるんです。ハッハッハ」
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