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恭介は裸のまま私に近付く。過去に交際していた私達。恭介の裸体が目の前にちらつき、私は目のやり場に困る。
「そこの部外者、邪魔だ。出て行け」
「蓮さん、邪魔かどうか類に聞かないとわかんないよ」
諸星は完全に楽しんでいる。
「僕も脱いじゃおうかな」
「やめて下さい。ボディエステなんてしてないですから。恭介も洋服着てよ。バカじゃないの」
「類、バカってなんだよ。男と女が密室で二人きり。本当にエステの特訓だかどうなんだか。気になるのは当然じゃろう」
恭介と私の会話に、香坂も諸星も何やら感づき始めている。
「恭介……さんも捺希さんも、お願いします。出て行っていただけますか? 私、真剣なんです」
「わかったよ類。恭介さん、リビングで飲み直そう」
「そうですね。飲み直しましょう」
ドアがバタンと閉まり、私はホッと胸を撫で下ろした。
「蓮さん雑念が入りました。すみません」
私は気を取り直し、ハンドマッサージを再開する。瞼を閉じていた香坂が、口を開いた。
「全然気持ちよくねぇよ。何、緊張してんだよ。お前が緊張してどうすんだよ。エステシャンの緊張は指先を通じて客に伝わるんだよ。まだわからないのか?」
「すみません。やり直します」
香坂が私の手首を掴んだ。
「今のお前は、何度やっても同じだ。平常心を保てていない。類、恭介と付き合っていたんだろう」
「ち、ち、違います」
香坂が手首を強く握り、私を引き寄せる。
「蓮さん、やめて下さい」
「もう一度聞く、恭介と付き合っていたのか」
香坂に……
嘘は……つけない。
「……はい」
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