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「鳴海店長、よして下さい。錦折塁が配属されるならともかく。そうでないなら、これ以上の人員削減は僕は嫌ですからね。ド素人のアシスタントをやっとここまでにしたんですよ。またド素人が配属されたらどうするんですか!」


 やっぱり、キツいな。


 ド素人の連呼だよ。


 矢のようにビシッビシッと、心に言葉が突き刺さる。


「あっ、ごめん。類、褒めてるんだからね。類はここまで成長したと褒めてるの」


「……はい」


 本当に褒めてるのかな?


「開店準備に行きます」


「類、すぐに僕も行くから。掃除を始めてて」


「はい。行ってきます」


 帰宅しない香坂……。


 昨夜ゆきさんのマンションに泊まったのかな。


 ゆきさんと香坂は……


 禁断の扉を開いた……。


 私、何を考えてるの。

 変な妄想するなんて、私らしくないよ。


 beautiful magicに着き、裏口から入る。窓のブラインドを開け、制服に着替えるためにロッカールームのドアを開けた。


 ロッカールームに転がる毛布?


 照明を点けず、毛布の固まりに近付く。


「……蓮さん」


 ゆきさんのマンションに泊まったと思っていた蓮さんが、ロッカールームで寝ている。


 深夜に来たのかな?


 早朝来たのかな?


 シェアハウスに帰ればいいのに、どうしてお店に泊まったの?


 香坂の顔は毛布に埋もれ、目しか出ていない。


 どうして私は……

 こんなにも、ホッとしているんだろう。


 香坂が誰と付き合っても、私には関係ないのに。


 ゆきさんが昨日変なこと言うから……。

 気になるだけだよね。

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