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 鳴海店長も香坂も、文句言いつつも三上の復帰を喜んでいるようだった。


 一人欠け、ぽっかりと空いていた席。忙しくてみんな口には出さなかったけど、やっぱり四人が揃うとパズルのピースが揃ったみたいで嬉しい。


 香坂と三上はニューヨークのヘアメイクについて、熱く語っている。


 男同士っていいな。

 女同士なら、こんな風に語り合えないかも。


「類、見とれてないで食べれば?」


「いただきます」


 諸星に見抜かれ、私は目の前にあるチキンを掴み頬張った。


 ◇


 翌朝、目覚めるとすでに珈琲のいい香りがリビングを漂う。


「おはようございます。波瑠さん、すみません」


「類が謝ることないよ。俺は新人だから。はい、珈琲」


「もう……冗談はやめて下さい。誰もそんなこと思っていません」


 三上から渡された珈琲。

 カップから温かな湯気が上がる。


「いただきます」


 二人で飲むモーニングコーヒー。何の意味もないのに、妙に照れ臭い。


「類、蓮さんの指導でシャンプー任されるようになったんだね」


「波瑠さんにも教えて頂いたから」


「俺は類に優しくすることしか考えてなかったから。蓮さんみたいな指導力はないな」


 厳し過ぎても、ギブアップだけど。あの時、私は無我夢中だった。


 香坂に『beautiful magicの一員だ』と言われたことが、嬉しかったんだ。


「類、俺と付き合ってくれない?」


「えっ? 波瑠さん、まだ酔ってます?」


「類、はぐらかさないで」


 だって……

 そんなこと突然言われても……。


 夢を見ているようで、信じられないし。

 私は三上と交際する資格はない。


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