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諸星の手はすでに私の腰に回されている。
「捺希さん、掃除しないと」
「そうだね。掃除道具はロッカールームの端に置いてあるから。掃除機、モップ、ホウキ、全部揃ってるから。その前に制服に着替えよう。悪いけどここは元々スタッフは男だけ。女性用のロッカールームなんてないから」
うわ、これは……。
どう返事すればいいの。
イエスともノーとも言えない。
ロッカールームに入ると、諸星はロッカーの鍵を私に渡した。ナンバー5が私のロッカー。諸星はナンバー4。
諸星は私に背を向け洋服を脱ぐ。私も諸星に背を向け、セーターを脱ぎブラウスに袖を通した。
ドキドキしてるのは私だけ? 諸星はさっさと制服に着替えているのに、私は背後にいる諸星が気になって仕方がない。
「類、時間短縮しないと。ズボン脱がしてあげようか?」
「ひゃっ、結構です」
思わず壁に避難する私。
諸星は笑いながら、入り口に立て掛けてあったモップとホウキを手に取った。
「す、すぐ着替えます!」
この狭いロッカールームに、私専用スペースを作らないと。カーテンで仕切るしかないな。
とにかく自分の身は自分で守る!
掃除機片手にロッカールームを飛び出し、諸星のあとに続いた。
美容室の隣室はブティックだ。店内には高価な洋服がずらりと並んでいる。beautiful lineのオリジナル商品だ。
「類はブティックの掃除をお願い。掃除が済んだら、レジとパソコンの使い方を説明するね。予約は指名制、電話を受けたらパソコンでスケジュールを確認して予約を入れること。基本給に指名料金がプラスされるから、一度いただいた指名は変更出来ないからね」
そんなシステム? まるでホストクラブだな。
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