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忙しそうだな。
予約制なのに、店内では予約をしていない客が数名待っている。
一人足りないから、忙しいんだ。本当なら錦折塁がここに加わるはずだった。
みんなカッコいいな。
なんかキラキラしてる。
黙っていれば、香坂も絵になるな。ていうか、客にはあんなふうに爽やかな笑顔を見せるんだ。
うわっ、耳元で囁いてるし。ホストじゃないんだから、そんな色っぽい眼差しは必要ないよね?
明日から私、勤務しても大丈夫なのかな? 足手まといにならないかな。
完全に場違いだよね。
ここは、別世界だ。
自己嫌悪に陥りながら、私はスーパーに向かった。
スーパーに並ぶ食材はどれも高い。地方とは価格が違う。夕食の食材以外に、自分用のフルーツや野菜、食費を節約するためのカップ麺を購入し、スーパーの袋を片手で掴み帰宅した。
「全部名前を書くんだよね」
黒のマジックで自分の食材に全て名前を書く。もちろんフルーツやカップ麺にも。名前を書き終わった食材を冷蔵庫の中に収納し、カップ麺はキッチンの隅に置いた。
昨日のお詫びのために、今夜だけ夕食を作る。豚スペアリブの中華辛み焼きと、ギョーザ。お酒のツマミにもなるし、男性なら好きなはず。
ていうか恭介が好きだったんだ。
ギョーザを包みながら、恭介のことを思い出す。恭介はまさか私がbeautiful magicの男子寮にいるとは思わないだろう。
ギョーザを包み終わり、スペアリブに漬けだれをもみ込み下ごしらえをして、フライパンにごま油を熱し両面に焼き色をつけ、耐熱皿に並べレンジで加熱する。
両面五分加熱し、レタスやパセリ、トマトと一緒に器に盛りつけた。
ギョーザもよく熱したフライパンで焼き、差し水をして蓋をし蒸し焼きにして、レタスを敷いた大皿に盛り付けた。
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