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「ただいま。わっ、いい匂い」
諸星がコンビニの袋を片手に帰宅した。三上、香坂も同じようにコンビニの袋持参だ。
しまった。
誰にも言ってないから、みんなお弁当を買っている。
テーブルの上の大皿には大量のスペアリブとギョーザだ。
「お前、見掛けによらず大食いなんだな」
香坂が嫌みを言いながら、コンビニの袋をテーブルに置いた。香坂の中身はカップ麺だ。洋服は高級なのに、食事はカップ麺ばかり、給料を全部洋服に注ぎ込んでるのかな。
「ただいま、類。料理出来るんだな」
鳴海店長まで、呆れたような眼差しで私を見ている。鳴海店長の手には何もない。
鳴海店長は冷蔵庫からビールを取り出した。
ビールにはもちろん、マジックで鳴海と記入してある。
「あ……の、鳴海店長。実は昨日のお詫びを兼ねて、食事を作りました。良かったらどうぞ」
「類、食費は会社から出ないよ」
「わかってます。これは私から皆さんへ、これからお世話になるご挨拶変わりです」
「わっ、僕達も食べていいの? 嬉しいな」
諸星は手を洗うと、素手でスペアリブを掴みパクッと口に入れた。
一瞬眉をピクリとさせ、私を見つめた。
「どうかな?」
「美味しいー! 類、料理上手だね。流石女の子」
「波瑠さんもどうぞ」
みんなに小皿を配り箸を渡した。
「ありがとう。俺ギョーザ大好物。ビールに合うよね」
三上は冷蔵庫からビールを取り出し、私に差し出した。
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