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諸星と三上は朝食のあと、みんなより早く店を出た。開店準備のためだ。
香坂は三分待ち、カップ麺の蓋を開け、『いただきます』と、両手を合わせた。
プーンとラーメンの匂いが室内に充満し、香坂はズズッと音を立てる。不快な音のはずなのに、美男の香坂がラーメンを啜ると、コマーシャルみたいに絵になるから不思議だ。
喋らなければ、確かにイケメンだよね。
一生、黙ってればいいのに。
「蓮、ショーは来週だぞ。モデルは手配したのか?」
「いや、まだ」
「どうする気だ? 常連さんに声を掛けてみるか? 菜々美さんや洋子さんなら、瑠璃さんに容姿も似ていると思うが」
「菜々美や洋子ですか? 二人はちょっと……」
「元カノだから、頼みにくいか?」
店の常連が元カノ!?
客に手を出すなんてサイテーだな。
「類、勘違いするな。店の客と付き合ったのではなく、付き合っていた彼女が店の常連になったんだ」
私の考えてること、よくわかったな。でもどちらでも同じことだ。
「元々美人で洗練された女より、垢抜けない田舎者を出すのも面白いかなと思ってます。before afterみたいに、ガラリとイメージを変えるのも配点は高いかと」
「垢抜けない女性か、それも面白いかもな。だが今どきそんな女性を探す方が難しいぞ」
香坂がラーメンを啜りながら、私を見つめた。香坂の視線に気付いた鳴海店長が、私をマジマジと見ている。
「わ、わ、私? ムリです。ムリムリ。水着のショーもあるんですよ。冗談キツい……」
「脱げ」
香坂よりも先に、『脱げ』と声を発したのは、クールな鳴海店長だった。
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