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「……鳴海店長」


「確かに類の身長は瑠璃さんとほぼ同じ。プロポーションは劣るが髪質は瑠璃さんとよくにている」


「ですよね。ドレスはいけると思いますが、このプロポーションで水着となると、サイズ変更しないと無理だな」


「確かにバストサイズは違い過ぎる。だがプロのモデルはバストの小さい者も多い。髪型にインパクトを与えればバストが小さいことは問題ない」


 私は思わず両手で胸を隠す。胸が小さいのは思春期からずっとコンプレックスだった。


 バスト、バストって、なに二人で盛り上がってるの?


 しかも私の小さな胸を貶しながら!

 これは立派なセクハラなんだからね。


「すみません、私そんなこと出来ません」


「類に選択肢はない。確かにプロのモデルを起用するのはNGだが、スタッフはNGとは規定には書いてないな」


「スタッフは美男と決まってますからね。どの美容室にも女はいない。だから当然規定には書いてない」


「だから私には……」


「お前は黙って脱げばいいんだよ。ヘアメイクは俺に任せろ。とびきりいい女にしてやる」


「類、そういうことだ。人事部へはファッションショーが終了するまで、配属の変更は見合せると伝える。そもそも錦折を商品部から戻せたらの話だがな」


「鳴海店長……」


 来週って……、一週間で貧乳が巨乳になったりしないよ。


 素人の私が、水着でランウェイをウォーキング出来るはずがない。


 こうなったら、ハッキリ断ろう。


「鳴海店長、香坂さん」


「俺がグランプリを獲ったら、借金はチャラにしてやるよ」


 借金はチャラ?

 十五万弁償しなくていいの?


「やりますっ!」


 思わず、やると口走った私。その言葉を聞き、香坂と鳴海店長が不敵な笑みを浮かべた。

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