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 や……ばい。


「僕は部屋に戻り着替えてくる。朝はみんな珈琲を飲むから。七時までに朝食の用意をしてくれたら助かるよ」


 七時って、今もう六時半だよ。朝食の準備と、香坂に詫びるのとどっちが優先?


 朝食が優先だよね。


 二階に上がる諸星の足音を聞きながら、取り敢えずキッチンに向かい冷蔵庫を開けた。


 冷蔵庫の中の品には、全部名前が書いてある。朝食用の買い物なんてしてないし。


 どうしよう……。


 途方に暮れていると、二階から人が降りる足音がした。諸星かな?


 振り向くと、鳴海店長だった。


「おはようございます」


「類か、おはよう」


「あの……朝食の用意ですが。食費っていただけるんでしょうか? 買い物してなくて……食材が……。食費をいただけるなら、すぐにコンビニに行ってきます」


「朝食は珈琲だけ準備してくれればいい。あとは各自で食べたい物を作る。男子寮と言っても、基本的にはシェアハウスだ。寮母なんて本来は不要なんだから」


 ……ですよね。


 本来はbeautiful magicのスタッフなんだから。誰かが家事全般をするなんてあり得ない。


「夕食も自由に食べるから必要ない。昨日は家事をしてくれと言ったが、洗濯も各自でするからしなくていい」


 昨日の失敗、知ってるんだ。もうすでに私は用無し?


「昨日はすみませんでした」


「類があんなにアルコールに弱いとはな」


「そうじゃなくて……洗濯……」


「そのことか。もう二度とするな」


「洗濯なら……さっきスイッチを……」


「一階の洗濯篭には蓮の洋服が入ってたはず。昨日着ていた黒いニットはどうした?あれはウールだぞ、洗濯機で洗ったら間違いなく縮む。まさか同じ失敗はしてないよな」


 私は血相を変え、脱衣所に設置された洗濯機に走る。


 そういえば、黒いニットがあった。まさかあれも香坂の洋服!?


 脱衣所のドアを開けると、洗濯機の前には頬をピクピクと痙攣させながら、怒りに満ちた顔で香坂が立っていた。

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